第10話 クリスマスの約束
約束の時間までは勿論プラモの製作に入る。
出来れば今作成している物を完成させてから約束の時間を迎えたい。
丁度後少しで完成だ。
心慎重に作業しているにも関わらず、何故か作業が予定外に早く進む。
そして、やっと完成!
長かった一つの作業が終わる。
よし、今日はもうおしまいっ!
部屋にはまだ未着手のプラモが沢山あるが、今日は折角のクリスマスのイベント。
せめて一つの事をやり遂げた晴れ晴れとした気分で迎えたい。
一息入れながら余韻に浸る。
あれ?
部屋にお金が落ちてる。
そういえば最近よく小銭が部屋に落ちてる。
使っている財布ももう古いからか、そろそろ買い替え時なのかも知れないな。
……等と思っていたら間も無くみやとの約束の時間だ。
みやの家に向かう準備をしつつ、プレゼントを持っていく準備をする。
実は数日前に購入して来た。
女の子へのプレゼントはあまり経験が無いので何を渡していいのかよく分からないが、他に何も思い浮かばなかったので、みやに似合いそうな服を上下用意した。
考えてみるとこういう機会が無く、みやにちゃんとプレゼントを渡した事も無い。
たまにはいつもお世話にもなっているお礼も兼ねてこういうのもいいかなと思っての事だ。
好みが合わなかったらその時はその時だ。
サイズはいつも自分と一緒に居るので身長とかは何と無くわかる(つもり)だ。
胴回り等一部怪しい所もあるけど、みやはスリムなので多分着こなしてくれるだろう。
きっと大丈夫だ!
喜んでくれると嬉しいなぁ。
そして、みやの家に着く。
呼び鈴を何度か鳴らすが誰も出て来ない。
不思議に思いドアノブに手をかけてみると……鍵が開いている。
「こんばんは、入るよー」
声をかけながら部屋に入る。
部屋の中は真っ暗。本格的なサプライズを用意しているのかな?
かなり楽しみにしてたみたいだし、それも十分に考えられる。
歩くと床に硬貨らしき物が溢れているのか、歩き辛く何枚も足で踏んでしまう。
「京……ちゃん……?」
何故かみやの声が足元から聞こえるが
部屋が暗過ぎて何も見えない。
「電気をつけるよ」と断り、部屋の電気を付ける。
!!
僕は言葉を失った。
床いっぱいにお金が散らばってる。
その中にみやが少し埋まっている。
みやを抱き起こすと信じられない程軽い。
そして……
みやが埋まっていたのでは無い事がわかる。
あるべき所にみやの右腕、下半身が無い。
しかし不思議と出血も何処にも無い。
「ど、どうした!?」
思わず怒鳴り声にも近い大きな声が出る。
「京……ちゃん。来てくれてあり……がとう。
ごめん……ね、私、ダメ……みたい」
目の前で起きている事に理解が追いつかない。
「何があったんだ!?」
「京……ちゃん。私ずっと前からね、京ちゃん……の事、好き……だっ……」
「み、みや!!
頼む!しっかりしてくれ!!」
何度も必死にみやを呼んだが、返事が返ってくる事は無かった。
目の前が真っ白になる。
眩暈がする。
寒気がする。
吐き気もする。
怒りも込み上げる。
自分の状態すら把握できない滅茶苦茶な状態になった。
僕はどうしていいのか分からずその場で崩れ、何も出来ずその場に佇む事しかできなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます