第14話 カッコよくて、でも、可愛い



「ふぅ……」


 翌日、俺はドキドキしながら待ち合わせ場所の最寄り駅に降りていた。


 ふぅ、リラックス、リラックスだ。

 とりあえず、俺は駅中にある自販機で水を買い、それを少し口にする。


 俺は自分の服装を確認し……


「よし、変なところはないな」


 待ち合わせ場所まで歩く。


 とはいえどもまだ、約束していた時間の30分前なので、まだ緊張するには早い……はずだったのに。


「せ、星那?!」


 待ち合わせ場所にはじっと、駅の出入口を見つめる星那がいた。


「あ、栄人さん、こんにちは。待ち合わせの時間よりだいぶ早いですね」


「それは星那だよ……ごめん、結構待ったか?」


「いえ、私もさっき来たところですよ。実は男の人と遊びにいくことがほとんど無くて……緊張して、こんな早い時間に来ちゃったんですけど」


「それは俺も同じだったってわけだ」


「ふふっ、私たち……少し似ているのかもしれませんね」


「そう……かな?」


 強くて可愛い彼女と俺では天と地ほど差があるような気がするけどな。


「じゃあ、昨日、メッセージした通り、まずはカフェに行きましょうか」


「お、おう!」


 俺は歩き出す星那について行く。


 まるで何回か目的地に行ったことがあるかのように、彼女は迷いなく歩く。

 一応、俺も場所は調べたが……なんだか俺が完全にエスコートされてるみたいだ。


「栄人さん栄人さん! 見てください、あそこで路上ライブしてますよ!」


「お、おー、本当だ」


 俺は彼女の指さす方を見てみると、ギターボーカルと、ドラム、ベースの3人組の女性が道の端でライブをしていた。


「路上ライブのことを嫌う人も居ますが、私は路上ライブ結構、好きなんですよね。自分の聴いたことの無い曲を聴けたり、ライブしてるの熱を無料で感じられたりするので」


「そうなんだ……」


 しっかりしろ、俺!

 俺は手で頬をパンパンと叩く。


「なあ、星那」


「どうしました?」


 俺は一旦、深呼吸をし


「今日の服……凄い似合ってる。カッコよくて、でも、可愛い」


 俺は今日の彼女を見てそう告げる。

 薄い緑のマルチシャツに白のスカート――とても彼女の可愛いさを引き立てていて……とにかく可愛い。


「っ?!……あ、ありがとうございます。でも、突然どうしたんですか? 別にデートという訳でもないので無理して褒めなくてもいいんですよ?」


 そっか。

 そういえば昨日はこうやって褒めて少し元カノからの影響なんじゃないかと疑われたんだよな。


 でも、俺は今日、その誤解をときたい。


「いや、無理してるとかお世辞とかじゃなくて……ただ折角、お洒落してもらったんだから褒めないとだろ? それに本当に似合ってるしな」


「そう面と向かってちゃんと言われると結構、照れますね……」


 良かった、今回は素直に喜んでくれた。

 そう、俺が思っていると


「でも、それだったら私も栄人さんのことを褒めないとですね」


 予想外の言葉が聞こえた。


「え、ええ?」


「栄人さん……栄人さんもかっこいいですよ。流石、幼馴染さんと付き合っていただけありますね」


「ありが……とう」


 っ〜〜〜?!

 こ、これ、恥ずかしい。


 幼馴染は服について口出しはしてくるが、褒めてくれることはなかったため……こうやってちゃんと家族以外の人から褒められるのは初めてであった。


「ほら、着きましたよ!」


「あ、ああそうだな!」


 俺たちは少し、気まずくなりながら入店することになったのであった。


 ――――――


「おいおい、あの子超可愛くね?」


「向かいの子が彼氏? 釣り合わね〜」


 うっ……周り席の人たちの声がうるさい。


 確かに星那は超がつくほど可愛い。

 それに加えて性格もいいのだ……完璧なS級美少女である。


「ここ、パンケーキがふわふわで有名なんですよ」


「へ、へぇ、そうなのか」


「私はこの、いちごが乗ってるパンケーキセットを頼もうと思ってるんですけど栄人さんはどうします?」


「じゃあ俺はバナナが乗ってるやつで」


 そうして、注文をし終えて……。


「パンケーキが届く前に、1つ聞いておきたいんです」


 なんだ?

 俺は少し、嫌な予感を感じ……


「昨日のコンビニのレジの店員さん……栄人さんの元カノさんですよね?」


 そして、それは当たっていた。




 ――――――



 神様、私にキャラの服と容姿を綺麗に表現するセンスと知識をください……。

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