【CoCシナリオ】レプリカント

亜未田久志

本編①

 Replicantː


推奨技能:聞き耳、目星、オカルト


 探索者が起きるといつもの自室ではなく殺風景な白い部屋だった。床に寝かされていたようで身体が軋むような音がする。ここで聞き耳を振って成功すると自分の心臓から心音が聴こえない事が判明する。SAN値チェック1/1d3 

 失敗した場合は自分の身体の変化にはまだ気づかない。

 成功した探索者は己の身体を調べるかもしれない。すると関節部分が人形のように球体になっておりその接続部は露わになっている。それにより今、自分が人形になっている事が判明する。SAN値チェック1/1d3

 非公開情報(カバラの生命の樹を模した迷宮)

 部屋を出ると丸い一室に出る。そこからは別のところに道が通じており、壁には掠れた文字で…テルと書かれている。

 目星に成功すればそれがケテルだと分かっていい。

 判定に成功した探索者はオカルトで振っていい。成功すればケテルとはかつての神秘主義であるカバラ由来の魔術的記号だと分かっていい。

 部屋全体に目星が振れる。成功すれば天井の監視カメラの存在とその隣にモニターが設置してある事に気付ける。

 モニターを見るとあなたと瓜二つの姿をした人間が迷いなく先へ進む姿が見て取れるだろう。

 そしていつの間にか、あなたの部屋には人影が現れる。

 それは黒衣の女性、目星に成功すれば手首が球体関節である事に気付ける。


「わたしの名前はモイナ、それも仮初めの名ですが、わたしはあなたの案内人、あなたの旅路が良い結末を迎えられるように」


★モイナから聞き出せる情報。

・彼女はこの部屋から出られない。

・彼女もこの迷宮の全容を知っているわけではない。

・ここが迷宮である事は教えてくれる。

・しかしその道筋は一本道だとも。


 次の部屋に進むと……クマーと壁に記された部屋にたどり着く。

 (目星に成功した場合はコクマーと読めていい、さらにオカルトに成功すればケテルの部屋と同じ情報が得られる)(失敗した場合の救済措置として)

 この部屋には書類が置いてあり、とある神格を降ろした事についての資料を読む事が出来る。

 種類整理をする女性、またしても球体関節の女性が現れる。

「あーもーどうして私がこんなことしなくちゃいけないのよ!」

 彼女はどうやら書類整理をしているようだった。

「ん? ああやっと来たのね、私の名前はエレナ。仮初めの名だけれどね」


 エレナから得られる情報は以下。

・神格「ラム」について、この神格を発見したのはかの大魔術師アレイスター・クロウリーである。火星に住み、地球に視察に来たという彼らとの接触は簡単だった。彼らの技術を利用し儀式場を建設する事は容易であった。それがクロウリーの魔術と似通っていたのは偶然だろうか? ともかくこのまま研究を進める。

・神格「■■■」(塗りつぶされている)について、追記・名を記すだけで呼び込む危険性があるために抹消した。この神格は計画の障害になる可能性が高い。被検体を奪われる前に儀式を開始しなくては。

・以上


 それぞれ文字の掠れた部屋がある。


 ビナーの部屋、ここには武器がある。ウェストコットを名乗る男性型の人形が配置されており、それぞれ武器の使い方を説明してくれる。(各技能に上方補正が入る)


 ケセドの部屋、ここにはたくさんの書類が積まれている。図書館に成功すれば「黄金の夜明け」について知る事が出来る。

・以下成功情報

・黄金の夜明けとは劇の形式で以て魔術体系を確立し上位存在に至ろうとした集団である。

・その中でもアレイスター・クロウリーは突出した才能を持った奇才であった。20世紀最大の魔術師とも称された。

 この部屋にはメイザースを名乗る男性の人形が設置されている。黄金の夜明けの事を懐かしそうに語ってくれる。(詳細情報を追加? いらないかも)

 ここで得られる情報は以上。


 ゲブラーの部屋、ここにはパソコンが一台置いてあり各監視カメラとモニターを制御している。パソコンのモニターには全部屋のカメラ映像が見る事が可能である。勿論「自分」の位置も分かる。

 ここにはイエイツと名乗る男性人形が存在しており、一人コーヒーを飲んでいる。


「ようこそ、僕の名前はイエイツ、仮初めの名前ですが、よろしくお願いします。ここまで何人の団員と出会いました? 団員じゃない人もいたかもしれませんね。薄々お分かりかもしれませんが、この迷宮は現代魔術の儀式場です。あなたは儀式の贄と言ったところでしょうか。次の部屋で真実と出会うでしょう」


 ティフェレトの部屋、遭遇の間とも記されている中間地点、キーパリングにもよるが順当に進めば此処で「自分」と遭遇する。それはまるで予言のように。

・自分、技能値はPLが設定したPCのものと全く同じ(公開情報)


 自分と瓜二つ、さらによく観察すればその身体は本物である事に目星に成功すれば気づくだろう。SAN値チェック1/1d3

・「自分」は拳銃を所持しており探索者を虚ろな目で狙って来る。

 戦闘開始、技能値は全く同じなのでターンは先に相手を見つけた方(目星に成功した方)が優先される。

・自分との戦闘

 同じ技能値だがビナーの部屋で得た補正は除く。

 戦闘はどちらかが気絶した時点で終了する。

 「自分」は探索者を殺しに来る。


 ネツァクの部屋、医療キットや工具などが置いてある。まるで戦闘する事を想定していたようだ。ここにはフォーチュンと名乗る女性がおり、あなたに応急手当を振ってくれる(救済措置)

 応急手当:50


 ホドの部屋、ここには壁一面に紋様が描き記されている。オカルトに成功すればそれがカバラ由来の魔術であると気づいてよい。なんの儀式かまでは分からない。

 ここにはアンナを名乗る女性型人形が配置されている。

「よくぞここまで、私はアンナ、仮初めの名前だけれど、あなたは無事、自らに打ち勝ち、先へと進む覚悟を決めた。それこそが儀式を進める大事な一歩であり、真相にたどり着くための一歩、正解を教える事は出来ないけれど。この儀式がなんであるかは説明出来ます」

 そしてこの迷宮がセフィロトの樹を模した上位存在へと至るための儀式が行われている事を知らされる。その上位存在になるべくして選ばれたのが探索者なのだと。

「行きなさい。この冒涜的な儀式を安全に終わらせられるのはあなたしかいないわ」


 イェソドの部屋、月を象徴とした部屋、地面にはクレーターを模した凹み、天井には宇宙の星々を模した明かり、その内の三つの明かり(電球)が点滅している事に目星に成功すれば気づくだろう。夜中に点滅する三つ目の灯り、それが何を示すのか。

 ここには壊れた人形が置いてある、動くことはない。何かに押しつぶされたようだと分かるかもれない。(目星情報)


 マルクトの部屋。仰々しい王座が探索者を出迎える。その王座に座り聞き耳を振れば、別の視点が得られるだろう。例えばそう。椅子が仰々しい見た目の割に軽い質感をしており簡単に動かせそうだという事を。

 そこにはクロウリーを名乗る人形が配置されている。


「よく来た。11のセフィラを辿り、上位存在に至ろうとせん者よ。様々な思惑が絡み合ったこの儀式だったが、後は君が知識のセフィラへと至れば儀式は完了する」


(各部屋にはそれぞれ「隠れ場所」が存在しており「自分」から逃れる時に使える)


 ダアトの部屋、知識の部屋、そこには黒い仮面の男と倒れ伏す白衣の男がいる。

「やぁやぁよく来た『探索者』くん、ここを見つけられないんじゃないかと心配したが、杞憂だったようだ。これは親切心だよ? 君を怪しげな儀式から救ってあげようというのだから。ま、これも享楽だがね」

 そう言って黒い仮面の男は忽然とその場から姿を消す。SAN値チェック1/1d3

 白衣の男は気絶しているだけのようだったがしばらく目を覚ましそうにない。まるで悪夢に囚われているかのようだ。彼の白衣のポケットからカードキーが手に入る。それは外の世界への出口を開ける鍵だった。しかし人形の身体のままでは元の世界に帰る事は出来ないだろう。

 そして虚空から新たな人形が現れる。(SAN値チェック0/1)名前を「エイワス」と名乗る存在はここまえで来た報酬に「真相」を語ってくれる。

・邪神ラムと邪神ニャルラトホテプが対立し、この「自分」同士を戦わせる儀式構造が出来た。

・自分はクリフォトの樹を辿っており、最後の部屋(探索者にとっては最初の部屋)にまで至っていたら新たな邪神が生まれていた。

・今、人形の探索者はセフィロトの階梯を辿り一時的に上位存在へと至っているのだと。

・その力で一度だけ奇跡を起こせるだろう。

・それはほんの小さな願いを叶える程度の物でしかない。

・それはきっと日常に帰りたいだったり新たな深淵へと挑みたいだったりつまりは元の身体に戻りたいだったりするかもしれない。

・それだけならきっと叶うだろう。

 トゥルーエンド


 基本的にこの迷宮は一本道であるが、目星に成功すれば隠し通路(ショートカット)を発見する事が出来る。

 順当に進むとティフェレトの部屋で「自分」と遭遇する。


 「自分」に敗北した場合、頭を打ち貫かれた後。ロスト……? かに思われたが、あなたの意識は人間の身体に戻っている。目の前には頭部の壊れた人形の身体。あなたは人形の身体から解放された事を悟る。(SAN値チェック0/1)そして貴方は人形の時に得た知識の分だけ、それとは別に自分がクリフォトの迷宮を辿っていた事に気づくだろう。オカルトに成功すればクリフォトが何か分かる。(クリフォトとはセフィロトの鏡像、悪魔の象徴)貴方は全ての記憶を取り戻す。マルクトの部屋の椅子を動かしダアトへの道を暴き出すと先に進む事が出来る事を思い出すだろう。「自分」はそこから来たのだから。すると黒い仮面の男とその足元に倒れている白衣の男がいる。黒い仮面の男は、


「ふむ、人形の身体は耐えられなかったか。まあどちらにせよ。こちらの介入が成功した時点でこの計画はご破算だったんだから良しとしよう。ああこの『計画』が何かって? そんなの説明する義理はないね。強いて言うなら『我々は新たな邪神を歓迎しない』の一言に尽きる」


 それだけ告げると忽然と姿を消す黒い仮面の男、SAN値チェック1/0

 探索者は記憶から白衣の男がこの儀式を組み、自分を巻き込んだ黒幕だと分かっていい。その懐からカードキーを取り出すと、探索者はその場を後にするだろう。ノーマルエンド。


 勝利した場合、一時的に相手は気を失うだろう。(相手を殺してなければ、だが)(殺した場合ロスト)

 しかし探索者はソレがすぐに目を覚ますだろうと直観していい。

 他ならぬ自分の身体だからだ。

 自分の身体を置いて最奥に進むだろう→マルクトの部屋へ。


 ケテルの部屋にも隠し扉がありダアトへ通じている。(オカルトの4分の1で成功すれば見つけられる)そちらから入ると強制的に邪神へと至る事になってしまう。もしくは「自分」とすれ違い「自分」が先にマルクトからダアトに進むとクリフォトの儀式が完成してしまう。

 クリフォトの儀式が完成すると人形の意識は暗転し、人ならざる者へと化した自分を見つめる事になる。(SAN値チェック10/100)

 黒い仮面の男、いや不定形の何かがあなたに語り掛けてくる。

「まさか、だ。人間を邪神に至らせるなどという計画が成功するとは、面白くないが面白い。この度は歓迎しようじゃないか。新たな隣人?」

 手のようなナニカを差し伸べられ、あなたは混沌の世界へと誘われるのだった。ロストエンド。


 ティフェレトからもダアトに行く事が出来るがその場合は儀式も完成せず、あなたはただ倒れる白衣の男を見つけ途方に暮れる事だろう。元の身体に戻る事も出来ずに、あなたは人形の身体で元の世界へ戻る事になるかもしれない。いつか終わるロストエンド。


 このシナリオのPCの目的はニャルラトホテプが組んだ「セフィロトの儀式」を完成させラムの仕掛けた「クリフォトの儀式」の完成を阻止する事である。しかし最初はその記憶がない状態から始まる。

 KPはそこを留意してPLを誘導しよう。


※セフィロトの情報は決して一般的な情報ではないのでこのシナリオをプレイする際はKP自身でも調べる事を推奨する。そこで間違いを見つけた場合は適宜修正して欲しい。


※邪神ラムに関しては第六版のマレウス・モンストロルムに記載があるが第七版対応のver1.2からは削除されている点に注意。


 Replicantːgoldendawn.

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