第17話 ドレッシングの話
いつだったか、刺身をのせたサラダがけっこうな頻度で夕食に出ていた時期がある。
中学生頃にはあまり見かけなくなったような気がするので、小学校高学年あたりだったろうか。
ともかく、その刺身をのせたサラダが結構好きだった。
癖のない白身魚の刺身、砕いたピーナッツ、細かくちぎったレタス、かいわれ大根、時にはきゅうりものっていたと思う。
どんな名前の白身魚だったかは覚えていない。
おそらく聞いていなかったのだろう。
家計を考えて価格が安い魚を選んでいたはずなので、きちんと調べればわかってくると思う。
さて、サラダというからには当然ドレッシングがかかってくる。
そのドレッシングは自家製のものだった。
レシピが古いレシートの裏に書き写されていて、分量は覚えていないものの、ごまだとかにんにくだとか、酢とか醤油とか砂糖とか、たまねぎも入っていたかもしれないし、油を入れたかもしれないし、ともかく酸味と辛味と旨味がバランスをとってきっちりしたドレッシングだった。
幼い頃は酸味のあるものが苦手でこのドレッシングも嫌っていたものだったが、一人暮らしを初めて十数年たった今ではだいぶ懐かしい味となっている。
あのドレッシングを味わってみたい、と思うときもたまにある。
たしか何かの雑誌に掲載されていたレシピだから、探せば見つかるに違いない。
調理者によって味が大きく変わることはないはずだ。
残念ながら自宅にミキサーがないので、作れるとしたら電気店でちょうどいい価格でちょうどいい大きさのものを見つけてからだろう。
案外、簡単に再現できたりして。
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