眠い...

 バイト終わりの帰り道

 朝の日差しがバイト終わりの俺を照らし

 更に疲れと眠気を与えてくる


 子供達が積もった雪で

 騒がしく雪合戦をしている、

 そう言えば今日って何日だ?

 28日だったか?

 日付の感覚が全くない

 完全に疲れてるなこりゃ


 なんとか自分の住むアパートに辿り着き

 弱った足を動かし玄関前まで歩いた


 ドアノブを引っ張ると

 鍵を掛けず出掛けたのに

 鍵が閉まっていた、

 井上...帰ったんだな


 スペアキーを使い自分の部屋に入る、

 玄関ポストを見ると

 俺が置いて行った

 マスターキーが置かれていた


 冷蔵庫の中を見ると

 冷蔵庫の中に入っていた物は

 何ひとつとして減ってはいなかった


「・・・・・」


 井上....俺の事嫌いになったかな、

 勝手に家に連れ込み

 勝手な事ばかり言って、

 女性なら怖いハズだ

 見ず知らずの男の家に

 気がついたら連れ込まれていたなんて、

 俺がやった事は

 誘拐と変わらないよな....


 駄目だ!!眠い!!

 俺はベッドに倒れ込むように横になり

 そのまま目を閉じ眠った




 夢を見た、昔の夢だ


 クラスの皆んなから蔑まれるような視線

 高校生だった俺は

 1人の男に謝っていた


 菅井 悠太 (スガイ ユウタ)

 ひとつ上の上級生で

 サイクリング部の部長、

 俺はその人に頭を下げていた


 菅井先輩は俺の胸ぐらを掴み

 俺を容赦なく殴った、

 クラスの皆は

 蔑む眼差しで俺を観ているだけ、

 そう言えば

 その中に井上も居たんだっけ?

 井上は俺の事、どう思ってたのだろう


 サイクリング部を辞め

 俺は家に引きこもっていた


 宙に浮き 死んでいる母

 目の前で人の原型が無くなる友

 自暴自棄で自分の足を石で叩きつける俺

 迫るトラック

 病院の屋上に立ちすくむ俺


 ・・・・・・・・後一歩

 その一歩を進めば

 俺はこの世の全てから解放される


 俺はその一歩を.....歩こうとした.....


「ダメ!!!!」


 俺は息を荒げ目を覚ました


「・・・・・、またあの夢か..」

 時計を見ると時刻は12時25分

 3時間も寝れてないのかよ


 ・・・・・・

 俺は長い間

 足の怪我で入院していた、

 色々な事があり

 自殺しようとした時があった


 病院の屋上は

 常に鍵で閉ざされていたが

 その日は何故か開いていたんだ、

 入院中だった俺は

 松葉杖を使い階段を登り

 屋上の柵を超え

 手すりも無い屋上の端に立った


 何を思ったのか

 その時俺は実の母と同じで

 この世の全てが嫌になっていた


 一歩前に進めば、

 俺はもう楽になれる

 そう自分勝手にそう思っていた


 いらぬ決意を身勝手に決め

 俺は何も言わず松葉杖を投げ捨てると

「ダメ!!!!」っと

 学生服を着た涼白が

 涙目を浮かべ大声で叫んでいた


 ・・・・・・・・

 分かってるよ涼白、

 俺はもう逃げないよ


 鏡の前でそう言い

 嫌な夢の事を忘れた

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