第1話 最初のターン 6:和子ー発見(2023.4)

 ビンゴ!封筒の中身は、びりびりに破れた写真の残骸だ。破ったのか。破られたのか。私にとって、残骸では意味をなさない。修復を試みることにした。幸い、私はこの手の作業は好きだ。こういうのは、まず、ジグソーパズルのように元の位置に近づけ、スキャナでPCに取り込んで、アプリでさらにパズルの精度を上げればよさげだ。


 今日はまだ土曜日の昼過ぎ。引きこもりの母に食事を食べさせた後でも、作業の時間は十分とれる。一旦食事休憩をとった後で、改めて私は封筒をもって自室に入った。


 私の部屋には結構PCパーツだの、周辺機器だのが揃っている。私の学生の頃から丁度インターネットが話題になり始め、家でのPCの普及、個人携帯の一般化と共に生きてきた。新製品、新サービスそんなのを、高くても、使い勝手が悪くても、一番に試してきている。


「SEだから?」

 人に、そんな質問をよく受けるが、別に全てのSEがPCのハードやソフト、アプリが好きなわけではない。そして、一緒くたにされるが、PCとネットワークとはジャンルが別物だし、SEとプログラマーは別物だ。ただ、私の場合は広く薄く趣味としても、この情報・通信技術の世界が好きなため、一緒くたにされてもあまり害はない。


 さて、写真。私はピンセットを準備し、大型の白紙の上で、元の写真紙を傷めないよう強そうな個所を選んでつまみ、ピースを並べた。ピースの集合体は、どうも、写りの甘い親子三人の写真だったようだ。

 ピントについては厳密には元の画素数と関係あるような気がするが、アプリに入れて色の補正とかやってみたらなんとかなるかな。厳密なその道のプロは、どう言うか分からないけど、私のここのジャンルは趣味趣味、素人様。

 写真を載せた白紙を透明なシートで抑え、スキャナで読み取らせる。スキャンツール、方法もいろいろあるが、ここは、昔ながらのやつがいい気がするね。


 PCにデータとして入った写真の画像をアプリで加工。フランケンシュタインのごときばらばらのピースを一枚の写真に。色褪せた色彩を鮮やかに。甘いピントをできるだけくっきりなるように。その結果、

 目を疑う写真が出来た。


 


 

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