273
「は、ははは!単なる見掛け倒しではないか!神に対し虚仮威しで挑むとはつくづく救えぬ愚か者よ!」
「あちゃー…やっぱ無理なのか…」
「ははは!神に逆らいしその罪!神罰を受けその身をもって贖うがいい!」
男はさっきまで狼狽えてビビってたクセに俺の策が不発に終わったと知るや否や態度を一変させ、偉そうに上から目線で調子に乗りまくる。
「はぁ…しょうがない」
「ははは!大人しく神罰を受けて考えを改めよ!」
俺がため息を吐きながら呟くと男が貫手でもするように手刀で攻撃してくるので…
「ごめん。無理」
「なっ…!」
俺は『死大帝の双剣』の内の一振りを手に取って男の攻撃をガードしながら拒否った。
「兵に戦わせる事が出来ればソレが最善だったんだが…まあ仕方ない」
「ぐっ!」
めんどくせぇ…と、ため息を吐きながら俺は男の手刀を弾いてもう一振りの双剣を手に取る。
「さて…と。どうする?」
「くそっ!くそ!くそお!!」
死大帝の装備一式を着けた俺が確認すると男は悔しそうに吠えながら玉砕のように攻撃して来た。
「おおー。体験するのは初めてだけど中々良いね。人類の進歩って素晴らしい」
「くそ!くそ!何故だ!何故当たらぬ!こんな…!こんなひ弱な若造に…!こんな…!」
魔導兵の雷魔法による強化で男の動きが全てスローモーションのように見え…
魔法操術のおかげで俺が何をしなくとも身体が勝手に攻撃を避け続けるので感心しながら言うと男が悔しそうに焦燥し始める。
「…でもこんな回避力が高いんじゃせっかくのアホみたいに高い物理、魔法防御が死にステになっちまうな…」
「こぉの!この!このっ!何故当たらん!」
おそらく男が放つかなり高位であろう魔法も『当たらなければ意味が無い』状態なので俺が欠点を分析するかのように呟くと、男は魔法を無詠唱でどんどん連射しながら叫ぶ。
「…かと言って当たったらどれくらいのダメージを受けるか俺には予測つかんからワザと当たるワケにもいかんし」
「しし神罰を受けろ!神罰!神罰!我の神罰を受けろぉ!この愚か者があぁ!!」
意外と男に攻め入る隙が無い状態で避け続けていると男が精神的に壊れたのか狂ったように叫びながら泣き出した。
「うわあああ!神罰!神罰ぅ!!」
「よし、隙あり」
双剣で真っ直ぐ飛んでくる黒い雷のようなようなモノを弾いて懐に飛び込み、そこから更に背後に回り込むように移動して…
双剣を上から下に振り下ろして男の背中に叩き込む。
「ぐへぇ!!?」
すると男は変な声を出して地面に叩きつけられるかのように前のめりに倒れる。
「…わーお。すっげ、見た事もない桁の数字が出たわ…」
おそらくただの通常攻撃のハズなのに5桁のダメージが二つ同時に表示され、俺は驚きながら呟く。
「ぐっ… !うぅ…!」
「おっと。やり過ぎたか?」
男が床に肘を立てて呻くので俺がちょっと心配しながら顔を覗き込むように確認すると…
「バカめ!」
男は罵倒するように言いながら急に振り向き手の平を向けて魔法で攻撃してくるが、強化魔法と魔法操術のおかげで俺は余裕で回避した。
「なっ…!!?」
「馬鹿はどっちだよ」
「ぐぅ…!!」
そして驚く男に俺は双剣の横っ腹でツッコミを入れるように軽く頭を叩く。
…大して力を入れずに軽く振り下ろしただけなのに4桁もの数字が出たのには驚いたが。
「ほらほら、さっきまでの威勢はどうしたよ?」
「ぐっ…!くっ…!」
俺が煽りながら剣の横っぱらで男の頭を軽くペシペシ叩く度にギリ4桁のダメージが表示されていく。
「ま、待て!分かった!分かったから攻撃をやめてくれ!」
「本当か?また不意打ちとか騙し討ちとか考えてねーか?」
「本当だ!これ以上のダメージを受けるのはマズイ!頼む!やめてくれ!」
男の降伏するような発言に俺が疑いながらペシペシ叩くと男は手のひらを見せて命乞いをし始めた。
「んじゃ、俺らを元の世界に戻せよ?」
「…分かった。が、今すぐにというわけにはいかん」
「あ?」
「準備だ!準備が必要になる!」
俺が攻撃を止めて剣を肩に乗せながら確認すると男は立ち上がった後に反故にするような事を言い出すので、剣を構えるようにして聞くと男が弁明するように理由を話す。
「どれくらいだ?」
「一週間ほどだ。それと今回の戦いのせいで我は休養せねばお前たちを戻すための力が足りん」
「おめーが喧嘩売って来たんだろーが!舐めてんのか!?」
男は時間がかかる理由をいかにも俺のせいみたいに言ってくるのでちょっとキレながら返した。
「貴様が反逆などと言い出すからだろうが。大人しく我に従っていればこんな面倒な事にならずに済んだものを…ぶへっ!」
男が呆れながら言うので俺は無言で男の顔面を殴りつける。
「誰のせいだって?」
「わ、我のせいだ!今回の騒動は我が悪い!」
倒れた男の胸ぐらを掴みながら起こして聞くと男は自分の非を認めた。
「俺は悪くないよな?」
「そ、そうだ!貴様に非は無い!」
「ったく」
「ぐっ…」
俺が確認すると男は肯定するので俺は突き飛ばすように胸ぐらを離す。
「き、貴様~!…これまでの神への狼藉、必ず後悔するぞ!後悔させるぞ! 」
「あ?…あ?」
男の懲りない罵倒に『もう一発殴るか』と振り向くといつものベッドの上だった。
「…あ…?」
『アレはマジで夢だったのか?』と思いながら時計を見るといつもの起きる時間だったので、そのまま起床する事に。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます