269

その夜。



俺らは今後の事を話し合うために飯島と駒込に小林とかの話の分かるクラスメイトと…



灰村や石井とかのまだギリ話が分かる奴らを家へと呼んで集まる事に。



「…海原、なんでこのメンツなんだ?」


「一応最低限話が分かって他の奴にも話を通せそうな奴に声をかけたつもりだけど」


「ふーん…なるほどね」



食堂へと集まったクラスメイト達を見て駒込が不思議そうに聞いてくるので俺が理由を教えるとどうでもよさそうに答えた。



「んで?今後の事ってなに話すんだよ?」


「俺らが元の世界に戻る方法とか…まあ情報交換とかだな」


「情報交換か…海原くんもなんか冒険者みたいになってきたんじゃない?」


「まあアイディア出したのは俺と柴だけどな」



石井の問いに俺が議題的なものを挙げると飯島が珍しく弄るように言い、藤原が笑いながら成果を主張する。



「情報交換とか言っても俺たちはギルドでもよく聞くようなものしかないと思うぜ?」


「人が多いと色んな意見や発想が出るからとりあえず集めただけでお前らの情報には少ししか期待してねーよ。自惚れんな」


「…少しは期待してるんだ」



石井が微妙な顔で難色を示すような事を言うと柴田はツンデレみたいなディスり方をして小林にツッコまれた。



「…お前らが提供する情報はなんだ?『死霊王の抜け殻』の取り方でも教えてくれんのか?」


「…おめーまだソレに拘ってんのかよ…」


「そもそも取り方聞かれても俺らが倒すと普通に落とすから俺らも条件が分かんねーんだよ。とりあえず分かるのは時間かけて倒せば落ちるかも…ぐらいか」



灰村の確認に俺が呆れながら呟くと柴田は突き放すように言いつつも自分達の予想を教える…という優しさを見せる。



「時間をかける…だと?」


「そーそー。海と組んだ時と他の奴らと組んだ時の違いっつーのがかかった時間ぐらいしか思いつかなくてな」


「…海原の場合はどれぐらいの時間がかかる?」


「だいたい二日から三日だな」


「え!?そんなにかかんの!?」


「みたい。僕達と一緒に行った時もAランクの魔獣でそれぐらいかかってたし」



藤原の説明を聞いた灰村が具体的に尋ねるので柴田が答えると何故か駒込が驚き、飯島が肯定しながら体験談を話す。



「今回も倒すのに時間かかったから『災魔の腕』とか『害獣の足』とか落ちてたしな」


「「「「…は?」」」」



柴田が今回の件を引き合いに出して言うと俺ら三人以外の野郎どもの反応と言葉が被った。



「災魔の…腕?」


「腕ってなんだ?」


「…災魔とか害獣ってアイテム落とすんだ…」


「海原それホント?」



駒込、石井、飯島が不思議そうに言うと佐藤が確認してくる。



「マジマジ。ほら、コレよ」


「うおっ、ミイラか?」


「…ちょっと見せて?」


「はいよ」



俺は肯定しながら物を取り出して見せるとみんなの視線が集中し、佐藤が手を出しながら言うので完成した左腕の方を渡した。



「…『邪神の一部。左腕』だって…邪神?」



佐藤はスキルを使ってアイテムの詳細を見たのか説明するように話した後に不思議そうな顔をする。



「「「邪神?」」」


「はっ、邪神ねぇ…」



俺ら以外のみんなが不思議そうな顔をする中、灰村だけが鼻で笑う。



「なんか知ってんのか?」


「俺が最初にぶっ殺した害獣が邪神の生贄がどうこう言ってた気がするが…言葉も上手く喋れないクセにお喋りでウザかったから拳で黙らせてやった」


「いやお前そこは聞いとけよ」



藤原の確認に灰村が思い出すように言うとその内容に駒込が思わずツッコんだ。



「ああ?なんで俺が片言のお喋りに付き合わないといけねぇんだ。そんな義理はねぇ」


「うーん…とりあえずその邪神を倒さないといけないって事?」


「じゃあ次の目標はその邪神?」



灰村が喧嘩腰で返すと佐藤は考えるように次の敵を定めるように言うと飯島が確認した。



「清水、その邪神について占えねーか?」


「ええ?」


「もしかしたら少しだけでもなんか分かるかもしんねーし」


「…分かった」



柴田の確認に清水は困惑した様子を見せるも藤原が後押しするように言うので水晶玉を取り出しながら了承する。



「…あ。え…?うそ…!」


「どした?」


「やっぱ次の敵は邪神で正解か?」



スキルを使った清水が信じられないものを見たかのように驚くので俺が聞くと藤原は笑いながら確認した。



「ううん…邪神はもう倒されてるみたい」


「「「「「…は?」」」」」



清水の報告にその場にいる野郎全員の反応と言葉が被る。



「なんか…100年以上前?に、この世界の神に戦いを挑んだらしく…」


「ち、ちょっと待て。神?神って俺らをこの世界に連れて来た?」


「多分その神」



清水が説明するように話し出すと石井が話の途中で割り込んで確認し、清水は肯定した。



「邪神と神が戦ったのかよ」


「じゃあ俺ら要らねーじゃん。なんのために連れて来られたんだよ」


「なんか神は邪神に力の一部を封じられたんだって。多分私達が呼ばれたのはその所為かも?」



藤原の愚痴に清水は続きを話して予想する。



「おいおい、神弱くねーか?それとも邪神が強かったのか?」


「でも邪神は倒されてんだろ?じゃあ神が弱いだけじゃね?」


「…じゃあ俺らは神を倒した邪神を倒したヤツを倒さないといけない…って事か?」



石井が微妙な顔で馬鹿にするような感じで言うと藤原もディスるように言い、駒込が情報を整理した。



「…ややこしいな。清水、結局邪神は誰に倒されたんだ?」


「…死皇帝」


「「「「…はっ?」」」」



柴田の問いに清水は『言っていいの…?』みたいな若干困惑したような反応を見せながら言うと、俺を含めたその場のみんなが同じ反応をする。



「激しい戦いの末、神の力の一部を封印する事に成功した邪神は調子に乗って死皇帝や死大帝に戦いを挑んだらしいけど、最初に会った死皇帝に完膚なきまでにボコボコにされ…死ぬ前の悪あがきで自分の四肢をバラして本体を自己封印させて生き延びようとしたけど、時すでに遅しで失敗。死皇帝によって倒された…だって」



俺らの衝撃が覚めやらぬ中、清水はスキルの効果で分かったんであろう情報を言い切った。



「…ちょっと待て。どういう事だ?」


「死皇帝ってアレだよな?ドロウィンの博物館に展示されてた…」


「…ねえ、ミミちゃんが着けてるソレ、『死皇帝』だよね…?」


「…ホントだ…」


「え、でもコレ…貰ったのって半年ぐらい前じゃ…」



あまりの衝撃的な内容に俺らはまだ情報が呑み込めずに漠然とした様子で話し合う。



「信じられない気持ちは分かるけど…最後の方話すね。その邪神がバラバラにした四肢は災魔と害獣になって封印された本体を復活させるために活動してたんだって」


「…む、無駄ぁ~」


「…死んでる主人のために料理を作り続けるロボットのような悲しさがあるね…」



清水が情報を全て話すと石井が微妙にツッコむような感じで言い、飯島はなんとも言えない感じで呟く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る