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…それから一時間後。
『ははは!ふははは!力が漲る!漲るぞ!妾は壁を越えた!』
「お、戻って来た」
「時間ギリギリだな」
「おい永江、もう飯の時間だぞ」
『うむ!』
ちょうど夕飯の時間に敵を倒れたらしく俺らのスキルが解け、永江が高笑いしながら戻って来るので俺はそう告げて柴田や藤原と食堂へと移動する。
そして俺らが食堂に入ると頭の中に『レベルアップ!スキルレベルが60になりました』という声が。
「「あ?」」 「お?」「「「「え?」」」」
よく分からないタイミングでのレベルアップに俺らと女子達の反応が被った。
「…なんかレベルアップってよ」
「いや、なんで今のタイミング?」
「つーか良く考えたらさっき災魔を倒した時は無かったよな?」
俺の報告に藤原が不思議そうに言い、柴田は確認するように聞く。
「…確かに」
「もしかしてグループとか集団扱いか?」
「いや、だとしてもだったら害獣倒したタイミングでアナウンスが無いのはおかしくね?」
「だよな…マジでなんでこのタイミングなんだ?」
「…ねえ、レベル60になった…って言われたんだけど…」
「ああ、俺らもよ」
「俺も」
「俺も」
俺らが話し合ってると住吉が確認するように言うので俺が適当に肯定するように返すと柴田と藤原も同じ事を言う。
…翌日。
災魔害獣を全て倒したので『どうやったら元の世界へ戻れるか』を聞くために俺らは前の拠点へと移動して清水の所へと向かった。
「おーす」
「あ!聞いたよ!魔獣全部倒したんだって?」
「おう。だから次の事を清水に聞きに来た」
大使館っぽい建物に入って受付の人に聞いた清水の部屋へと向かってると佐藤と会ったので俺はココに来た理由を話す。
「はー、もうこの世界とはおさらばかぁ…長いようであっという間だったなぁ…」
「元の世界に戻って今更勉強ってのもな…俺らもう社会を経験してるし?」
「元の世界はこの世界ほど甘くはねーぞ。ってかむしろアッチの世界の方がハードモードだろ」
「…だよなぁ…治安は良いし、文明や文化が発達してるから過ごし易いではあるんだが…それでもなんか生き辛いってか息苦しいよなぁ…」
佐藤が名残惜しそうに呟くと藤原が調子に乗った事を言うので俺が注意すると柴田は微妙な顔をしながら呟く。
「安全で治安が良くなった分自由が制限されてるからじゃね?」
「あー…あと人間関係が希薄になってきてたりするからかもな」
「…そうか?」
「今の時代『東京の人達は冷たい』ってよく言われてるだろ?」
「それもそうか」
俺の予想に藤原が納得したように呟きつつ他の理由を予想するので俺が否定するように聞くも反論されて納得させられてしまった。
「麗~、入っていいー?」
「どうぞー」
佐藤が部屋のドアをノックしながら聞くと清水からの入室許可が下りる。
「よー、清水。災魔と害獣は全部倒したぜ?次はどうする?」
「え。男子達も来たんだ」
「お前の『占い』の力を借りにな」
ドアを開けて直ぐに藤原が報告と確認をすると清水は驚いたように振り返って聞くので柴田が来た理由を話した。
「占い…あ。そう言えば災魔とか害獣とかを全部倒したんだってね!」
「おう。だから次どうすればいいか占ってくれ」
「分かった」
清水は佐藤と同じ事を言い出すので俺が軽く流すように指示をすると水晶玉を取り出す。
「ん?…駒込だ…もしもし?」
清水の報告を待っていると俺のスマホに着信があったので相手の名前を言って電話に出る。
「海原聞いたぜ!お前ら災魔達を倒したんだってな!」
「おう」
「で、どうやったら俺たちは帰れるんだ?」
「まだ分からん」
多分女子達から聞いたんであろう駒込の言葉に相槌を打つと俺らも知りたがってる事を聞いてくるのでとりあえず現状を話す。
「そうか…じゃあ何か分かったら教えてくれ。じゃあな」
「あ…切れた」
「どした?」
駒込は言いたい事だけ言って切るので俺がスマホを見ながら呟くと柴田が聞いてきた。
「いや、アッチの魔獣の襲撃はどうなってんのか聞こうと思ったら切れた」
「あー…流石に災魔と害獣を倒したんだからもう無いんじゃね?」
「だといいんだがな」
「…ダメだ。何も分からない…」
俺と藤原が話していると清水は残念そうにスキルを使った結果を呟く。
「占いでは『元の世界に戻れる』って出てるんだけど、どうすれば良いのかが全く分からないし、全然見当もつかない…」
「…マジか。じゃあ井上に聞いてみるか?」
「井上?ああ、あの夢見の巫女とかいう奴ね」
テーブルに肘を乗せて頭を抱えながら呟く清水に俺が提案すると柴田が不思議そうな顔をした後に納得する。
「でも清水の占いで分からないのにその巫女とやらが分かるのか?」
「一応神託を受けてるらしいから何か分かんじゃね?」
「じゃあ俺が電話するわ」
藤原の疑問に俺が適当に返すと柴田がスマホを取り出して井上へと電話をかけた。
「もしもし?井上か?柴田だけど…昨日災魔と害獣を倒したんだが、どうやったら元の世界に帰れるか巫女に聞いてくれ」
「何かしらヒントでもあればいいんだけどな」
「全くだ」
「マジ。おう、おう…じゃ、頼んだ。…後から聞いてくれんだと」
柴田は電話を切った後に軽く報告する。
「んじゃ帰るか」
「あー…これってもしかして私達もアッチに行った方が良いパターン?」
「かもしれない…藤原、海原私達もお願い。ついでに海原、お願いね」
「あいよ」
「はいはい」
俺らが帰宅しようとしたらどうやら清水と佐藤もついてくるつもりらしいので…
藤原と俺は女子二人のお願いに軽く了承してからみんなでアッチの拠点の家へと帰宅した。
「そう言えば魔獣を倒したっていうのにレベル上がらなかったんだけど」
「マジ?俺らは普通に上がったぜ?なあ?」
「おう」
「うそ!どれだけ上がったの?」
「60になったから…20ぐらい」
佐藤の思い出したような発言に柴田が確認するように返すと清水が驚きながら聞いてくるので藤原は思い出すように答える。
「20!?20も上がったの!?めっちゃ上がるじゃん!」
「ってか40からの20って必要経験値結構エグいんじゃない?なんで私達は外れたんだろ…?」
「多分、だけど…あくまで俺らの予想だぜ?多分おそらく海の拠点…家に住んでると居候とかの住民はパーティ扱いになるかもしれん」
「「えー!」」
「あくまで今までの状況から推測した仮定の話だけどな」
佐藤が驚くと清水は不思議そうに呟くので柴田が前置きしながら軽く説明すると二人は驚き、藤原が念を押すように確定情報じゃない事を告げた。
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