7

「「お!」」


「えっ!?」


「よっしゃ!」



今度は俺らの後ろ側に斉藤が現れ藤原がやりきったようにガッツポーズを取った。



「よし、逃げるぞ!」


「魔方陣だ魔方陣!」


「アレで洞窟の入口に戻れる!」



俺が兵士を召喚して斉藤を拘束してるロープを切らせた後に担がせると、柴田と藤原が魔方陣を指差すので急いでソコの上に乗って即撤退する。



「ふ~…ここまでくればもう大丈夫だろ」


「いやー、ヤバかったな」


「待って!」



柴田と藤原が笑い合って外に向かって歩き出すと兵士に担がれた斉藤が叫ぶ。



「ん?『助けてなんて言ってないんだからね』?」


「違うの…!助けてくれたのは本当にありがとう!でも、まだ他に捕まってる人達がいるの!」



その人達も助けてあげて!お願い!と、兵士に降ろしてもらった斉藤が頭を下げて頼み込んで来た。



「だってよ。藤、どうする?」


「どーすんだよ。藤」


「どうする柴?」


「俺に振るのかよ!…そーだな…よし!どうする?海」


「しゃーない、行くか」


「「おう!」」



一応斉藤には外に停めてある馬車に乗るよう伝えてから俺らはまた洞窟の奥へと向かう。



「お!なんかあっち宝箱あんぞ!」


「でも手前の魔獣なんかオーラ出てね?ぜってー強いわ。アレ」


「ふっふっふ…俺の出番だな!海」


「あいよ」



藤原が俺の兵と魔獣を別空間に送るのでその隙に柴田がダッシュで宝箱を開けに行く。



「鍵!鍵ゲットした!」


「うわ、いらねー」


「今更カギなんてあってもなぁ…っと、別れ道だ。どうするよ?」


「「左」」



藤原と俺のスキルを駆使しながら魔獣を避けて洞窟を探索していくとまた別の広い空間へと出た。



「あっ!た、助けて!」


「海!」


「おおよ」



斉藤の時に何かしらコツを掴んだのか藤原は鉄格子越しにミノタウルスから逃げ回っている女性と俺の兵をスキルで消すと…



ミノタウルス側に兵士が、そして俺らの隣に女性が戻ってくる。



「おいおい…まるでワープじゃねーか」


「便利でありがたいことだな」



柴田が羨ましがりながらも悔しそうに言うので俺は兵に女性を拘束しているロープを切るよう指示して返事をする。



「あ、ありがとうございます!もう少しで私…あの化物に…!」


「礼には及ばない…けど、あと何人捕まってる?」



頭を下げてお礼を言う女性に藤原はカッコつけたように返した。



「私が知る限りではあと三人ですが…」


「つー事はあと二人か」


「どうする?流石にこの人連れてこのまま進めねーだろ」


「そーだな…藤、お前その人を送ってけ。俺と柴で他の人探しとくから」



俺は兵を20体召喚して藤原の護衛兼囮として付ける事に。



「分かったよ。ちゃんと目印用意しとけよ?」


「俺の兵が一体でも残ってれば道案内させるわ」


「…全滅したら終わりじゃねーか」



俺らは一旦藤原と別れてから来た道を戻って別れ道の逆を進む。



「お!また宝箱!」


「アレは藤が戻って来ないと無理だな」


「ココで待つか?」


「そだな…魔獣も周りにいねぇし」



…宝箱を守る魔獣は居るものの、宝箱の前から離れようとしないので大丈夫だろう…と俺らは藤原と合流するまで休憩する事にした。



「おーい!」



…少しの間座って柴田と喋っていると兵を15体ほど引き連れた藤原が戻ってくる。



「お、来た来た」


「んじゃ、行きますか」


「お!アレ宝箱じゃん!」



藤原と合流し、宝箱を開けるも中身はまたしても鍵だった。



「いらねぇ~」


「ってかなんで宝箱の中にカギが?」


「さあな。ミノタウルスがわざわざ入れたんじゃね?」


「そんな知恵があるようには見えなかったけどな」



必要ないとは思いつつも鍵を袋の中に入れて奥の方へと進む。



するとキン、キン…という金属音がどこからか聞こえてくる。



「なんか聞こえねぇ?」


「ツルハシで鉱石でも掘ってんじゃねーの?」


「こんなところでか?」


「じゃあ何の音だよ」


「知らねーよ」



とりあえず何の音か気になるので音のする方へと行ってみる事に。



「くっ…!」


「お」



またひらけた場所に出た…と思えば鉄格子の向こう側で誰かが三体のミノタウルスと戦っていた。



「誰かが戦ってんぞ」


「うへぇー、ナイフ一本で斧と競り合うとか変態か?」


「!あなたたち…!何級の冒険者なの!?」



鉄格子越しに戦っているメイド服の女性を見ながら話してると俺らに気づいた女性が鉄格子に近づいて尋ねてくる。



「お前ら何級なの?」


「俺4級」


「俺も」


「4級…!?じゃあコレはあなた達の手に負える相手じゃない!早くこの洞窟から逃げなさい!」



俺一人冒険者じゃないので藤原と柴田に聞くとその返答に女性は逃げるよう警告してきた。



「だってさ。どうするべ?」


「少し様子見るか。一人で大丈夫そうなら最後の一人を助けに行きゃあ良いし」


「いや、ナイフ一本でミノタウルス三体とか無理ゲーだろ」



んな事出来たら普通の装備だとBランクの魔獣も余裕よ?と、楽観視する俺らに藤原が説明してきた。



「へー、そうなのか?柴」


「知らん」


「おい、嘘吐くなよ藤」


「嘘じゃねーって!見てれば分かるよ!」



冒険者の事なんて知らんのでとりあえず藤原の言う通り女性の戦いを観戦する。

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