2
…それから一週間後。
『雑用』とも呼ばれるような依頼も無くなりやる事がなくなってしまったので、柴田と共に今後について話し合い…
その結果、次の町へと移動する事に。
「ホント便利だな。お前の兵は」
「まあな」
「ただもう少し強ければな~…」
あんだけ戦力を大量投入してもDクラスの魔獣にギリギリってどうよ?と、柴田は移動中の馬車の中で不満を口にする。
「お前が防御力を縛ってのアレだからな…やっぱり戦いは数より質なんだろ」
…雑魚はやはり数を大量に増やしたところで大して意味は無く、範囲攻撃をされてしまえばおしまいなのである。
そうこう雑談を続けている内に村に着いたので旅の疲れを取るために一旦休んで行く事に。
…そして次の日の夕方。
朝早くから出発し、ようやく町に到着したので一旦柴田と分かれて不動産屋に向かう。
「ココか」
「いらっしゃいませー」
「空き家を探してるんだけど」
「空き家ですね?少々お待ちください」
とりあえず不動産屋に入った俺はこの町の拠点となる格安の空き家を探す事にした。
「この町の空き家はこれだけですね」
俺は差し出された4枚の紙を受け取り中身を確認する。
「内覧は出来る?」
「はい、可能ですよ。気になる物件がありましたか?」
…紙の情報だけでは良く分からないので実際に確認出来るかどうかを聞くと男は笑顔で頷いた。
「コレとこの空き家が見たい」
「…分かりました。ご案内致します」
気になった空き家の情報が書かれている紙を2枚渡し、残りの2枚はそのままテーブルの上に置く。
「おお、意外と広い」
「外の庭も手入れをすれば直ぐに使えるようになりますよ」
「へー、じゃあ次の所に」
「分かりました。こちらですね」
一軒目を内覧して思った以上に良い感じだったので若干テンション上がりながら二軒目の空き家へと移動する。
「へー、ココは三階建てなんだ」
「一軒目とは違って庭は無いですが建物の面積は広いですよ」
「…うーん…『220坪の庭付き平屋』か『130坪の三階建て』か…」
「個人的にはこちらの方が町の中心地に近い分住みやすいと思いますよ」
「じゃあこの空き家で」
俺は不動産屋の男の意見を聞いて三階建ての空き家を購入する事に決めた。
早速不動産屋の建物に戻って空き家を購入するための書類にサインして金を払う。
「…はい、大丈夫です。ではこちら、土地建物の権利書となります」
「ありがとうございます」
「いえ、では今後とも当方をよろしくお願い致します」
男の人に頭を下げられたまま建物を出た俺はスマホを取り出して柴田に電話し、拠点となる家の住所を教えた。
そして新居に帰り…兵士達を20体ほど召喚して新しい家の掃除や補修をさせる。
「おー!今度の家はでけぇな!」
「庭付きの平屋と悩んだんだけど、店員にココの方が住みやすいって言われてな」
兵士達に掃除をさせてる中、俺がリビングで寛いでいると柴田がやって来た。
「こんな家が良く買えたな」
「安くても誰も買わない理由があるんだろ」
「まあ確かにな。俺らの世界でも空き家が増えすぎてヤバイってニュースでやってたし」
「この世界でも幽霊なんて出るのか分からんけど…事故物件じゃない事を祈っておこう」
「…おい、怖い事言うなよ」
俺が冗談で言うと柴田は笑いながらも声が少し震えていた。
「出たら出たで教会に寄付金払って追い出しゃあいいだろ」
「それもそうか」
俺が万が一の時の対処方を教えると柴田は安心したかのように呟く。
「つーか晩飯どうするよ?とりあえず適当に買って来たけど」
「キッチンを先に掃除させてあるから料理自体は問題ねぇだろ」
「マジか。じゃあ寝るところを考えねぇとな」
柴田がテーブルの上に袋を置くので俺は中身を確認して弁当だけ取り出し、材料は兵士に持って行かせた。
…翌朝、朝食を食べた俺は早速金を稼ぐために家を出る。
「…どこも同じ、か」
やはりどこの町もなんでも屋のような雑用仕事をやる奴はいないのか…
FランクとEランクの依頼が大量に残っている状態だった。
コレ幸い…と俺は依頼を片っ端から受けていって兵士を大量に派遣。
あとは依頼が完了するまで適当に時間を潰す。
…適当に町をぶらついていると兵士達が次々と依頼を完了していき…
夕方になる頃には数十件に及ぶ依頼の報酬をゲット。
『塵も積もれば山となる』
面倒で報酬が少ない依頼でも数をこなせばAランクとほぼ同じ額を稼ぐ事が出来るわけだ。
「お」
今日の分の依頼が無くなったので帰宅すると家の中は見違えるように綺麗になっていた。
「たでぇま~…あー腹減ったー」
俺が兵士達に夕飯を作らせていると出かけていたんだろう柴田が帰宅。
「おー、美味そう。…うまっ」
柴田は洗面所で手を洗った後に椅子に座るとテーブルの上に置かれた料理を直ぐに食べ始める。
「…そーいやよぉ、町ん中歩いてる最中にお前んとこの兵をめっちゃ見たんだけど…全部でどれくらい出せんの?」
飯を食ってる最中に柴田は思い出したかのように疑問を聞いてきた。
「さあな。出そうと思えばどこまでも出て来るから数えた事ねぇわ」
「おうおう便利便利」
俺の返答に羨ましそうに返して会話を打ち切る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます