第14話強くてニューゲーム
「で、さっきは遮られちゃったけどあの子誰? 超美人じゃん。なんて言うかさ、私達姉妹にはない可愛さがあるっているか」
俺は心の中で「知らんがな」と言いつつも、この姉妹の猛攻に耐えられる気がしなったので、素直に白状する事にした。「すまん。三ヶ日」と心の中で謝罪した。
「……アイツは三ヶ日みかん。だいたい2カ月ぐらい前に、初めて会ったネットの友達であいつが、ここに進学するなんて全く知らなかった」
俺の言葉に唯と香の姉妹は、
「ふーん。ネットで知り合った女の子が、たまたまあんな大人っぽい美人さんだったと?」
「普通なら信じられないって言いたいところだけど優斗君を知ってると。あ、本当のことを言ってるんだなって素直に信じられるよね……」
「そういうところも含めて豊君は変わってないんだなと思って……」
「変わってないって失礼だな……背だって伸びたし……」
「久々にあってびっくりしたけど、目元……目つきの悪さとかは全く変わってないよ? ね、お姉?」
すると香は。
「確かに身長以外あんまり変わってないね。私達姉妹が知ってる豊君だよコレは……」
と言うと姉妹そろって、うんうんと頷いた。
「人の事は指ささない。あれ、これ、それとかそういう言葉じゃなくて汚い言葉でもいいから人間扱いしてくれませんか?」
「うっわぁ~~ホントそういう面倒なところ昔から変わってないと言うか……純粋培養されてそのままって感じがする! 唯なんか変な感じするよ!」
「こっちも同じ気持ちだ。見知らぬ新天地に見知った人間が4人もいる……けどそれは昔を知っているだけで不安感は残ったままという……」
「四人て誰の事? 私、香、三ヶ日さん……」
「
「嘘。シズリさんここで働いてるの? 知ってたおねぇ?」
「ぜんぜん知らなかった」
この世界では名分けることになってしまう事が申し訳ない。
「まぁまぁ、そんな事より取りあえずクラス割の確認しようよ。いい加減目立ってきて視線が辛い」
「やっぱり、美人双子姉妹だと2倍目立ってしょうがないわね」
二人は気にした様子のなく俺を挟んで掲示板の紙を覗き込んだ。
ち、近い。
二人が俺の知っている唯と香で、容姿以外昔とあまり変わらない事もなんとなく分かった。
けれど不意に鼻をくすぐるTHE・年頃の女の子のニオイに、心臓がドキドキと跳ねどんな顔をすればいいのかと戸惑ってしまう。
俺の思いを知ってか知らずか。左右の似た顔の姉妹がニヤニヤとチェシャ猫のような笑みを湛えて、こちらを見上げる。
「今、私達姉妹の女の子らしさに思わずドキッとしたみたいだよ。」
「やったね。香これは私達を意識せざる負えないよ!」
俺の反応を面白おかしそうに弄って、姉妹そろってケラケラと腹を抱えて笑っている。
「俺そんなに女の子扱いしてなかったか? 一応俺なりに気負付けてたんだけど……」
あくまでも元の世界の彼女たちには、そういう風に接していたがこの世界の俺が、どういう風に接していたのかという事までは分からない。
「あーー。確かに今思い返してみればそうだったけど……子供って現実を知らないからお姫様レベルで、気使いやエスコートしてくれるレベルじゃないと、女の子扱いしてくれてるとは感じないよ」
「あーーわかるわかる。今、唯に言われるまであんまり気が付かなかった。多分白馬の王子様かイタリア人ぐらい女の扱いのうまさが必要だと思う……」
「そういう夢は乙女ゲーかホストクラブに求めるんだな」
「違う違う。豊君が優しいのは分かってたよ? いなくなってからの数年間でヒシヒシと姉妹そろって実感したもん。ね、お姉?」
「これからも迷惑かけるだろうから、あらかじめ謝っておくね? 豊くんごめんね」
「迷惑と思ってないから気にするな」
俺は元の世界を合せればおよそ20年ぶりの再会で思わず感動しつつ。なんだかこれからは以前のように、三人で一緒に過ごすのが当たり前になる予感を感じていた。
もちろん。本当にそうなるなんていう事はわからないけど、今の俺は確信していた。
「あ、優斗君みつけた。」
そう言って綾瀬がピシッと人差し指で俺の名前を指さした。
一年一組
『須藤 優斗』
その近くを見ると。
『三司 雛未』
『三司 綾瀬』
当たり前の様に二人の名前が並んでいる。
昔から勉強できたからな……
「あ、これって……」
雛未が指さすところを見ると……
『三ヶ日桃』
「嘘だろ……」
三ヶ日桃まで俺と同じクラスの生徒だったとは……そうやら二週目人生は強くてニューゲームかと思ったら、ヘルモードだったようです。
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