第12話友情努力勝利ではなく血統才能勝利

 俺は学習机の上に置かれたモニターを注視している。

 現在俺は三ヶ日と二人で。【The《ザ》 Pinnacle《ピナクル》of《オブ》 Heroes《ヒーローズ》~英雄たちの頂点~】のランクマッチに挑んでいる。もう一人の仲間はゲームが人数合わせで入れてくれた野良プレイヤーだ。


 俺たちはゲームチャットをオフにして、ディスコードで通話をしている。


 現在は三ヶ日のスナイパー練習のために長物スナイパーと近接用のショットガンと言う尖った武器構成で、高台から一方的に打ち下ろしている。



「もう嫌になったの? たったの一週間じゃない? 意気地のない男ね……ルーカスト50ダメ赤アーマー」



 このゲームにおいて大切な上情報は、敵の体力、キャラの種類、武器、アーマーの強さ、敵の場所となる。

遠距離の場合敵の武器は、殆ど関係ない。何故なら、高倍率のスコープを持っていなければ、反撃されないからだ。

だから今回はキャラクターと幾つダメージを与えたか、アーマーの種類を報告している。


 白、青、紫、赤のレアリティーが存在し、白が50以後赤まで25ポイントずつ上昇する。

 簡単に言えば基礎HP100+アーマーのHP−ダメージで、俺たちはどの敵が一番弱っているのかを、見極めて狙っている。

 即ちアーマーが割れれば、残りは最大100となり弱っている目安となるのだ。



「うるせぇな……こっちはゲームも予習もやってるんだよ! ゲームする時間がないんだよ。アトラスのバリア割り紫アーマー」



 ただ無駄話をしているように見えるがその間も、攻撃の手を緩めることは無い。


 移動要塞とゲーム内で紹介されるバリアシールド持ちの巨漢キャラクター、アトラスの盾を砕く事で、一定時間盾の再展開を防ぐ事ができる。

 そうする事でヒットたり判定ボックスの大きいアトラスは当てやすい的になる。



「時間がないっていうのはね。時間を作れない人間の言い訳なのよ無駄を省けば時間を得ることは出来るわ……チッ外したわ……」



 三ヶ日が俺が盾を割ったアトラスを狙って狙撃するが、相手のキャラクターコントロールキャラコンのほうが、一枚上手だったようで見事に回避される。


 いつもならYo○TubeやT○itchなどで配信している配信者を事前に把握して、キャラクターの衣装やランク帯やゲームモードで脅威度を設定して、疑いがあれば逃げるか対策を立てているのだが……生憎と今日は、時間がなくてそんな事は出来ていない……。


 画像認識ソフトとそれを管理するツールがあれば、用意に全ての強者の動きを予測出来るのに……と実現できていない空想に浸る。


 より現実的なのは、時間経過と共に収縮するマップと安全地帯を


 もちろん敵の画面を確認する為ではなく、強敵を避けるためである。



 二人してスナイパーライフルで遠くのチームを狙撃しながらも、本題からそれることは無い。



「確かにつらいかもしれないわ……人間て週間が付けば割と何とでもなる物よ……それに今は筋力を付けつつ脂肪を落とす必要があるから、一日6時間以上も身体を動かさせているけど、筋肉が付けば必要なくなるから……」



そう言いつつもアトラスのパーティーに弾を命中させて着実にダメージを稼いでいく。



「ならよかった……学校が始まってからもこの調子だと流石にキツイ……」


「2か月と少しで体を作ることを目標にしているのだから、それはそれはキツイものになるわ」



 レジェンドボックスと言う、レア武器が出現するアイテムボックスから、最強武器の狙撃銃デストロイヤーを拾っていた。

 俺はデストロイヤーを発射して、索敵用キャラクターのワイルドハントの頭を打ちぬいた。


290ダメージと言う最HP225のこのゲームでは、防ぎようのない大ダメージが、敵を貫いて確定キルが入りゲームに勝利する。



「スナイパーは射線の確保と予測、弾道落下、カウンターに警戒するのが基本だ」


「でも射線の確保も、カウンターの警戒もいつもしているインファイトと、何が違うの?」


「射線の確保は見方から離れているから、他のパーティーから打たれたり、見方が詰める時に遅れがちだ……空気と言うか雰囲気を読む能力だ」


「なるほど遊撃役と似た感じね……」


「弾道落下は、通称ビームライフル以外はすべて存在する。どれぐらい下に落ちるかを理解しなくちゃいけない。連射銃で言えば銃を撃つと狙いから、逸れていくのを制御する――――リコイル制御みたいな基礎だ。カウンター警戒は敵の位置把握と、こちらの射角が多いという事は狙われやすい事を理解して、数発射撃して移動するとか対策をしなくちゃいけない」


「スナイパーってやっぱり面倒なのね……やっぱり私はインファイト専門でいいわ……」


「理由を付けて逃げる奴は嫌いじゃなかったのか?」


「うっ……そこを突かれると痛いわねもう少し頑張ってみるわ……あらもう約束の時間じゃない。少しは気分転換でもしてみたら?」


「そうするよ」


「じゃぁね」


「あぁ。またな」



俺はディスコードとゲームを落とすと、アニメを見て気分を変えることにした。




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