第11話習慣は付けるまでが大変
先日オフ会であった超人気バトルロワイヤル系FPS。【The《ザ》 Pinnacle《ピナクル》of《オブ》 Heroes《ヒーローズ》~英雄たちの頂点~】の名物女性プレイヤー【U_MAn《ユーマン》】事。三ヶ日桃は酷いぐらいの毒舌女であった。
そんな彼女に発破をかけられたこともあって、俺は公開の無い人生を送ろうと心を新たにしていた。
ラインを見ると長文文章に幾つかのURLが張り付けられており、見るとそれはダイエットプログラムだった。
こういうメニューがいいとかそういった細かい指示が書かれており、理想と代案が幾つも乗っていた。
例えば白米より雑穀や麦飯の方が良いとか、みそ汁を多めに飲めとか時間をかけて食べる事肉や米より野菜を食べる事とか、納豆やヨーグルト(無糖)を食べろオートミールもいいなど様々な事が書いてあり、運動も朝ご飯を食べたら二時間ウォーキングの後筋トレをして、夜もウォーキングとトレーニングをしろなどと細かい事が書かれていた。
そんな生活を一週間も続けていると……随分とこなれて来た。受験があるからと言う名目で、俺は中学には現状あまり通っていない。自由登校期間が始まる前から学校に行くより、高校授業の予習と自分磨きに勤めていたが、毎日6時間の運動も苦にならなくなってきていた。
朝目を覚まし朝食を取ってからウォーキングを始める。家から近所の大型公園まで徒歩で移動して何週も公園の周りをまわる。
当たりを見回すと、犬を連れたりあからさまにガチ勢の方々が走っている光景が目の当たりになる。
夜になればライトアップもされるため、近隣の学生カップルにとってはデートスポットであり、告白の定番スポットととしても定着しつつある。
フランスだかヨーロッパの古い町並みの橋を模した石橋が、池の真ん中に掛けられていてその周りに走ることが出来るスペースがある。
「ちょっと待ちなさい!」
ん――――?
目の端に映ったのは、同い年くらいのショ-トツインの女の子だった。よほど犬が好きなのか叱りつける声音からも愛情がにじみ出ていた。
見た目から受ける印象は清楚可憐な少し小柄で、スタイルの良い美少女と言った所であろうか。
犬と戯れている姿が何ともほほえましい。
少女と戯れていた犬――ポメラニアンが遊んでいたせいか、首輪がスルリと抜けおちてこっちてしまい。俺の方へ向かってくる。
ポメラニアンは追いかけてくる飼い主の少女を気遣う事なく、追いかけっこを楽しむようにキャンキャン鳴きながら走っている。
俺はこっちに来なければ、いいのにと思いながらその光景を眺めていると。
何を血迷ったのかポメラニアンは、俺目掛けて駆け寄ってきた。
「キャンキャーン」
俺の腹目掛けて飛び掛かってくる小型犬の顔を見て、やっぱりお前狼の系譜だよと思いながら、ポメラニアンをキャッチする。
「すいませんありがとうございます」
「いえお気になさらず。」
少女は深々と頭を下げた。三ヶ日にも負けず劣らなずと言った容姿に、俺は思わず視線を反らした。
三ヶ日を綺麗系と言うのならば、彼女は可愛い系と言った容姿の差異はあるもの俺が生で見た女の子ランキングでは、二人でトップを争うほどだ。
俺は抱きかかえたポメラニアンに向かってしゃべりかけた。
「君名前は?」
「秋野夏目です」
彼女は照れながら答えた。
……犬の名前を聞いたつもりだったんだけどなぁ……
少女の方を見て改めて名前を尋ねる。
「ワンちゃんの名前は?」
「メアリーです」
「メアリーじゃぁ次はエリザベスかアンだな」
「次?」
「気にしないで……ただの持病だから……」
「はぁ……」
俺は昔から世界史特に西洋史が好きだった。メアリーと聞けば異端狩り女王血まみれのメアリー事。ブラッディ―メアリーが出て来る。その次の王は女性ならエリザベス、別のメアリーならアン女王と言った所だろう……カクテルのブラッディ―マリーの元ネタでもある。
「俺の名前はユウトだよろしくね」
そう言ってメアリーをなでてやると、直ぐにゴロンと横になって腹を見せる。
何て人懐っこい犬なんだ。
「珍しい……メアリーはあんまり人になつかないのに……」
「私も家族以外の男の人とまともに話したの久しぶりだし……」
コミュ障なのだろうか? 女子高と言う線もある……
「よかったらまた俺とお話ししようよ」
「いいですけど……」
彼女の返事を聞くと俺は腕時計を見た。
ヤバイ約束の時間までもうっ時間ないじゃん。三ヶ日に閉められる……
「じゃぁね」
俺は全速力でこの場を後にした。
「変な人だったね……メアリー」
ポメラニアンのメアリーは、キャンと吠え飼い主の意見を肯定した。
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