第4話孤独のモーニング
そして約束の週末。俺は睡眠不足からくる目のしょぼつきを身だしなみを整えるついでの朝シャワーで、顔を洗い流すことでリフレッシュさせて目薬を差し、前日に用意しておいた洋服に着替え、インスタントコーヒーだけを飲んで家を出た。
家から駅まで自転車でおよそ25分。決して遠いわけではないが、田舎町に住む住民取り分け俺のような引きこもり予備軍にとっては、かなり遠く感じる距離だ。
その間は好きなアニソンや声優ラジオを聴きながら移動する。
この世界のアニメもかなり面白く、端役の声優だった人がメジャー声優になっていたりと多少の際があるがそれはそれで楽しい。
自転車を市営と思われる有料駐輪場ではなく、少し歩いたところにある。自転車が多く置かれている本屋の前に違法で自転車を止め。
俺は駅の改札で往復チケットを買っい電車に乗る。土日という事もあってか人は多いが都心の「椅子に座れない」と言う満員ではなく、「立たなければ乗れない」程度の田舎での満員であった。
名古屋へ行くのは何時ぶりだろう? 前の世界の仕事の研修で、何度か行ったことはあるが遊びで行くのは久しぶりだ。
どうせオアシス21のポケ〇ンセンターやJUMP SH〇Pや大須にある。万松寺(萬松寺)――日本史に詳しくない日本人でも知っている三英傑の一人。神君家康公が過ごされた事もある。由緒ある寺で観音が有名で現在の建物は、近代的でかなりファンキーな印象を受ける寺がある。――の万松寺商店街へ掘り出し物を探しに行く程度である。
今回はアクセスも良いため名駅の近所にある。喫茶点で待ち合わせをすることにした。
相手との約束は10時30分。現在の時刻は9時30分であり喫茶店に入ってモーニングを食べても余裕がる計算だ。
愛知県(東海地方)ではモーニングと言えば、喫茶店にあるお得メニューの事であり例えば、コーヒー一杯でトーストが付いてくると言ったような摩訶不思議なシステムなのだ。
前世の先輩曰くパチスロ界隈では、モーニングとは早朝に特殊遊戯に耽ることらしい。
彼は金欠時にユニコーンで一発当てて以来。「金がなくなればユニコーンで当てるから!」と言っていた。もう取り返しがつかないぐらい沼にハマっている。
そんなことを考えながら俺はコーヒーを注文してモーニングに追加料金を払い、トーストを小倉クリームトーストに変更し、コーヒーの苦みを小豆の甘さとクリームの油分を交互に接種することで飽きることなく無限に食べることが出来る完璧な作戦を実行した。
遅めの朝食を取って店員に食器を下げてもらって、ソーサラーの上に乗ったコーヒーカップだけの状態にしておく。
机の上に置いたスマートフォンがブルブルと振動した。
スマホへ視線を向けると「今どこですか?」。メッセージが来ていた。
俺は「目的地にいます」。とだけ入力して、スマホから視線を反らした。
数秒も立たない内に「了解です。あと五分程度で着くと思います。服装を聞いてもいいですか?」。とメッセージが入っていたので俺は、「了解です。今店内にいます。シャツの上に一枚黒い上着を羽織った。ジーンズを着た黒髪短髪の男です」とメッセージを打った。
有名プレイヤーの【U_MAn】が5分以内にこの店に来るのだ。可愛らしい声だったが、顔出しをしていないという事はあまり可愛くないのだろうか? はたまたネットリテラシーが、シッカリとしているという事なのだろうか?
そんなことを考えて人生初のオフ会に胸を躍らせ、目を皿にして入店する客を凝視する。
頭には緑色のベレーボーをしていて、胸元が開いたⅤネックの黒いシャツに、アイボリーのシャツチュニックにベージュ色のスカートを合せた。大人っぽい雰囲気の服装の女性が入店してきた。
何処かで見たことある気がする……
女性は店内をグルっと見回し、俺の方を見てニッコリと微笑んだ。
店員さんに事情を説明したようで、黒いヒールブーツをコツコツと鳴らして、俺の席の前で足を止めた。
「虫さんですか?」
彼女が訪ねて来た。
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