第6話 祖母から貰った大切なもの

☆(弥吉宗助)サイド☆


衝撃的事実だった。

何がといえば須郷七穂さんが何処に住んでいるのかだが。

俺の住んでいる7階の3階下のマンションの4階に住んでいた。

衝撃を受けながらだったが俺達は何時も通りの感じを保ち。

そのまま別れた。


「お帰り」

「あれ?母さん。どうしたんだ?仕事は.....」

「早めに終わったから帰って来たの。.....夕食を一緒に食べたくて」

「そうなんだな。それは確かに息子としては有難いが」

「でしょう?.....うん?何かあったの?」


「何か嬉しそうな顔をしているわね」と俺に笑みを向けてくる母さん。

俺は「!」と思いながら「そう見えるか?」と聞いてみる。

母さんは「そうね。.....いつもお父さんの事ばかりで沈んでいたわね。貴方」と俺を見てくる母さん。

確かにまあその通りではある。


親父が.....死んでから。

浮気されてから。

全てが絶望と化したからな。

思いながら俺は母さんを見る。


「.....聞かせて貰って良い?.....その嬉しい事」

「.....近所に.....知り合いになった女子が住んでいたんだ」

「.....そうなのね。.....それで嬉しかったのね」

「そうだな。.....こんな事で喜んでも仕方が無いけどな」

「そんな事無いけど。.....私もお父さんとは幼馴染結婚だったから」


俺は意外な事を聞いてから見開く。

それから「そうだったのか」と話す。

すると母さんは「あら話して無かったかしら。そうよ。.....私が先に死ぬって言ったのにね」と複雑な顔をしてから直ぐに明るくなる母さん。

俺はそんな姿に「.....」という感じの反応になる。


「御免なさい。暗い話をしてしまって。上がって上がって。夕食の準備に戻るわね」

「.....母さん」

「.....ん?」

「いつか痛みが減ったら聞かせてほしい。.....親父とどういう恋をしていたか」

「.....そうね。もうちょっと痛みが減ったら必ず。貴方に言うわ」

「待ってる」


そして俺は自室に入ってから母さんはリビングに向かう。

俺はそれを見送ってからそのまま部屋に入る。

そうしていると電話がかかってきた。

俺は驚きながら電話を見る。


「.....これは.....須郷さん?」


俺は驚きながら電話に出る。

すると『も、もしもし』と声がした。

俺は「もしもし」と声を発する。

須郷さんは『あ、あはは。何だか恥ずかしいです。連絡先を交換したばかりだから。でも私から言い出したから是非実行しないとって思ったから』と言う。

その言葉に「うん。ありがとう」と告げる。


『今日は有難うございました。猫カフェに付き合ってくれまして』

「全然構わないよ。.....俺も楽しかったから」

『そ、そう?なら良かったです。えっと。興味が湧くとか好きなネコって居ました?』

「白色で黒縁の猫が可愛かったかな」

『そうなんですね。好みが一緒ですね』

「そうなんだ」


そんな他愛無い会話をしながら俺は笑みを浮かべる。

すると須郷さんは『その。また良かったら私の買い物に付き合って下さい』と話してきた。

俺は「そうだね」と俺は笑みを浮かべながら返事をする。

その言葉に須郷さんは「えへへ」とはにかむ。


「そんなに嬉しい?」

『先輩と後輩って感じですね。何故かって言えば.....引きこもりの』

「それってあんまり良くない感じだけど.....大丈夫かなぁ?」

『そうですかね?でも私は.....弥吉さんは凄いって思います。だから尊敬していますよ。本気で』

「ありがとう。そう言ってくれるのは君だけだ」

『尊敬の意味です』

「そうか」


須郷さんとそんな会話をしつつ窓から外を見る。

窓の外は晴れ渡る空だ。

何だか気持ちの良い空だなと思う。

そして俺は机に触れながら椅子に腰掛けた。


「須郷さんは.....綺麗だって思う。.....白の髪の毛も精霊っぽくて」

『い、いきなりどうしたんですか?』

「.....誇りを持ってほしくてね。それでそう言ったんだ」

『そうなんですね。有難う御座います』

「俺は冗談抜きで君の髪の毛は好きだ」

『.....有難う御座います。恥ずかしいです』


『実はこの髪の毛は嫌ですけど黒に染めたくはないです』とも言う須郷さん。

俺は「何故?」と聞いてみると『私のおばあちゃんに。亡くなってしまったんですけど「この髪の毛は神様が宿っているよ。だから誇りを持ってね」と言われたんです』と答えてくる須郷さん。

俺は「成程ね」と言いながら須郷さんの話を聞く。

すると須郷さんは『だから弥吉さんが白い髪の毛を褒めたのは.....お婆ちゃん以来でした』と言う。


『色々と自暴自棄で白い髪の毛が嫌いだった。容姿も嫌いだったんですけどもっと好きになった気がします』

「.....俺なんかで良かったら褒めるよ」

『はい。有難う御座います。弥吉さん』


そう言いながら笑顔を浮かべる様な声をする須郷さん。

俺はその言葉に過去を思い出す。

そして「実はな。親父が病弱で働いてなかったのも無職だ無職だって批判されたんだ。俺は。だからお前のその周りからの嫌がらせは.....全然状況が違うけど良く分かるよ」と答える。

『お父様は.....亡くなられたんですよね?確か』と聞いてくる須郷さん。

俺は「ああ。その通りだ」と返した。


「.....立場も状況も違う。だけどよく分かる」

『.....そうなんですね』

「ああ。だからお互いに何かあったらやり取りしような」

『はい。.....その際は是非。ありがとうございます』


それから俺はスマホを持ったまま本棚を見たりして須郷さんと電話越しに会話をしながら楽しい時間を過ごした。

そして俺は夕食を用意する為に部屋を離れた。

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NTRが発生したのだが同じ様なNTRをされた女子に出会ったのだが アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

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