第4話 分断

☆(弥吉宗助)サイド☆


猫カフェに誘われた。

あの日、公園で出会った女子と行く事になった。

俺はその事に何か(成り行きだが.....こうなるとは)と思いながら考える。

それから俺は猫カフェのテーブルで注文のメニューを見ながら考えている須郷さんを見る。


「.....うーん。何を飲もうかな」

「須郷さんは何か好きなものとかあるの?」

「あ、私ですか?.....私は.....嫌いなものはないですね。強いて言うなら私に嫌がらせする人が嫌いです」

「ああ。成程ですね。.....それは.....俺も嫌いなんで」

「.....お互いに大変ですね」


「そうですね」と答えながら俺もメニューを見てみる。

ネコネコドリンクというものが気になった。

数多くの猫に関するメニューが有るが。

思いながら「じゃあ俺はネコネコドリンクで」と呟くと.....須郷さんが「え?」と反応した。

俺は「?」を浮かべる。


「私と同じですね」

「.....え?注文しようとしたものがですか?」

「そうです。私とまるっきり同じですよ。アハハ」

「そうなんですね」

「.....凄いですね。50種類ぐらいメニューあるのに」


そんな言葉をクスクスと言いながら須郷さんは発する。

俺はその言葉に柔和になりながら須郷さんを見る。

すると奥からさっきの店員さん。

つまり八幡さんが来た。


「どれにする?」

「.....あ。ネコネコドリンク2つで」

「そうですね」

「おっけー。しかしやっぱり恋人っぽいよ?同じものを頼むって」

「違いますから!!!!!」


「アハハ」と笑いながら八幡さんは奥まで行く。

俺はその姿を見送ってから須郷さんを見る。

須郷さんは頬を膨らませて「まったく」と呟いた。

そんな姿を見ながら居ると電話が掛かってきた。

その連絡先を見ると.....コイツか。


「.....」

「弥吉さん。電話が」

「.....ああ。気にしなくて良い感じです。ブロックし忘れていたんです。.....浮気した元カノですね」

「.....!」

「.....ろくでもない野郎ですよ」


そして俺は真顔のまま直ぐに電話をシャットアウトした。

それから俺は須郷さんを見る。

すると須郷さんは「大変ですね」と神妙な面持ちになる。

俺は「大変じゃない。.....ただ関わりたくは無いですけど」と答える。


「.....何で弥吉さんを裏切るんですかね。良い人なのに」

「.....引き籠っていたのが気に入らないんでしょうね。.....多分」

「そんな理由とか最低すぎます」

「そんなもんですよ。ビッチってのは」


そう答えながら俺は苦笑した。

それからネコネコドリンクが運ばれてくる。

中身はカシスのジュースだ。

実はそのジュースは須郷さんのお気に入りだそうで.....。

それで被ったのか。


「.....弥吉さん」

「.....何でしょう?」

「.....もし良かったら.....敬語をやめませんか」

「.....え?」

「正式に友人として接したいです」

「.....別にそれは構いませんけど.....」


「弥吉さんは良い人です。だからこそお友達になりたいです」と須郷さんは話す。

俺はその言葉に「そうですね」と返事をした。

それから「じゃあ敬語なしで」と答える。

すると須郷さんは「ですね。私も止めますよ。でも口調がこのままかもですが。止めたものと捉えて下さい」と答えてくれた。


「.....須郷さん。何でいきなり友人なんだ?」

「.....私は.....弥吉さんなら親友になって良いって思ってます。だから友人を切り出しました」

「そうか」

「はい」


それから笑みを浮かべ合う俺達。

すると奥からケーキを持ってから八幡さんが現れた。

そして「はい。おまけ」と言ってくる。

ケーキがおまけとか初めての店なんだが?


「え?八幡さん.....これお金払います」

「良い良い。何だか奢りたくなったから」

「そんな.....」

「まあその代わりだけど.....弥吉くん」

「あ、はい」

「彼女を大切にしてあげて」


そう言いながら苦笑いを浮かべる八幡さん。

クレープケーキを見ながら少しだけ深刻な顔をする。

その顔を須郷さんも見ながら眉を顰める。

俺は「分かってます」と切り出した。


「友人は守りますよ」

「そっか。男前だね」

「.....当たり前の事です」


それから俺達は猫と触れ合って。

八幡さんに挨拶をして帰ろうとした時。

商店街を潜ってから衝撃を受けた。

目の前に黒の長髪の女。

そしてモデルの様な顔をしながらも股の浅い女が居た。


「別れるって。何かした?アタシ」

「.....山本。お前浮気しているだろ。だから別れるって書き込んだ」

「あれ。そう。バレていたんだね」

「.....何故あんな真似をした」


俺は須郷さんに先に帰る様に促したが。

須郷さんも睨む様に山本を見る。

すると山本は呆れた顔で「誰その人?」と言ってくる。

俺は「須郷七穂さんだ。.....俺の親友だ」と答える。


「.....あー。白髪なんだ。.....お婆さんみたい」

「お前!!!!!言ってはならない事を言いやがって!!!!!」

「良いんです。弥吉さん。.....安い挑発ですね」

「挑発?.....アタシは本音を言っているだけだけど」

「.....」


このクソッタレビッチが。

思いながら俺は山本を睨みながら「地獄に落ちろ」と言ってからそのまま須郷さんを引き連れてその場を後にした。

こんな本性があるとは。

以前は違ったのに。

何が間違っていたのか俺達は。

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