第3話 一緒に
☆(須郷七穂)サイド☆
私が人を誘うなど珍しい。
そもそも.....知り合ってあまり経ってない人を。
考えながら私は授業を受けていく。
すると友人の伊藤桃花(いとうももか)が私の席にやって来た。
「はろはろ」
「うん。はろはろ」
「どしたん?なんか.....嬉しそうな顔をしているけど.....確か浮気されたって聞いたけど」
伊藤桃花。
顔立ちは若干幼い。
何というか小学生と間違えられそうな感じの童顔。
だけどお姉さんの様にしっかりしている。
笑顔が絶えない様な性格だ。
そんな桃花は心配しながら私を見てくる。
私は「うん」と返事をしながら「実はね」と全て話した。
すると桃花は目を丸くしながら「そんな事が?」と私を見てくる。
私は「うん」と返事をしながら柔和になる。
「.....不思議な感覚だなぁ。そんな人は聞いたことが無いね」
「というか偶然だけどね。こうなったのは」
「そうだね。でも何だか魅力のある男性だね」
「そうだね」と返事をしながら私はニコッとする。
すると桃花は「今度紹介して」と笑顔になる。
私は「勿論」と言いながら桃花の手を握る。
桃花は握り返した。
「.....白髪も気にしないなんて珍しいね」
「.....そうだね。そこは不思議。聞いたけど「そんなの気にもならない」だって」
「へー」
「.....私はそんな人は初めてだった」
そして私は胸に手を添える。
それから胸から手を外してから笑みを浮かべた。
桃花は「うんうん」とニコニコしながら私を見てくる。
するとチャイムが鳴った。
「あ。チャイムが鳴った。また後でね」
「そうだね。.....じゃあ桃花」
「うん。七穂」
それから戻って行く桃花を見てから教科書を出す。
そして私はスマホの電源を落とそうとした時。
メッセージが来ているのに気が付いた。
それは.....浮気をした彼氏。
「.....ブロックするの忘れてた」
そんな事を呟きながら私は彼氏のアドレスをブロックしてからそのまま授業をまた受け始める。
次の授業は古典だった。
そのお話は.....昔の恋愛の話だった。
☆
猫カフェは私の好きな場所だ。
だからこそ誘ったのだけど。
だけど何で彼を誘ったのだろうか。
良く分からないまま桃花に断りをいれてからそのまま校門前に行く。
約束の場所だ。
そして待っていると彼がやって来た。
「お待たせ。.....すまない。ちょっと忙しくてな」
「あ。全然構いません」
「.....じゃあ行こうか」
「はい」
そして歩き出す私達。
弥吉さんは歩幅を私に合わせてくれていた。
私はその歩幅に合わせて歩く。
すると「そういえば」と弥吉さんが聞いてきた。
「猫は好きなんですか?」
「.....あ。私ですか?そうですね。猫が好きです」
「そうなんですね。それで猫カフェなんですか?」
「そうですね。.....猫が好きです。だから猫カフェです」
「良い趣味ですね」
「それ以外にも.....猫って毛が白い子も居ます。だから個性があって良いなって」
「.....成程ですね」
そんな会話をしながら商店街にやって来る。
それから「秘境みたいなところですが」と私は言う。
そして商店街の路地に入ってから見上げる。
そこに猫カフェ(にゃんこ)があった。
「ああ。こんな場所にあるなんて思いませんでした。俺いつもこの場所を通ってますけど」
「この場所は目立たないので気が付かないと思います。でもそれが秘境らしくて私は好きです」
「良いご趣味ですね」
「良いというか.....まあそうですね。ありがとうございます」
そして弥吉さんにニコッとする私。
それから私は「じゃあ行きましょうか」と手を差し出す。
するとその手を弥吉さんは見てから「え?」という感じになる。
私はハッとした。
「.....す、すいません」
「い、いや。大丈夫ですが.....」
何をしているのか。
思いながら私は手を引っ込める。
それから差し出した手を摩りながら赤面する。
そしてそれを隠す様に歩き出した。
そうしてからドアを開ける。
「いらっしゃいま.....あれ?七穂ちゃんじゃん」
「こんにちは。八幡さん」
「うん。いらっしゃ.....うん?もしや彼氏!?」
「へ!?ち、違います!」
赤くなる私。
八幡美子(やはたみこ)さん。
大学生のアルバイトのお姉さんだ。
ポニテに八重歯の女性。
可愛い女性だ。
「やるじゃない」
「だから違いますって」
「あはは。まあ.....ゆっくりしていってね」
私は「もー」と言いながら八幡さんを見つつ背後を見る。
弥吉さんは「部屋が木で造られているせいか木の香りがしますね」と笑みを浮かべていた。
私は「そうですよね」とニコニコする。
「.....猫カフェとか初めてかもです」
「.....あ。そうなんですか?」
「はい」
それから見ていると何匹もの白、茶、黒の猫がやって来た。
それから弥吉さんと私に近付いて来る。
更に奥から八幡さんがやって来た。
そしてお茶を持って来る。
「まあ先ずは一服してってね」
「あ、はい」
「ありがとうございます」
そして私達は椅子に腰掛けてからお茶を飲む。
それから私は周りを見渡してから弥吉さんを見る。
弥吉さんは興味津々な顔をしていた。
何だか嬉しくなった。
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