第179話 こちらスタンピードの現場です1
火属性の魔物は多数生き残り、後ろから後続が押し寄せて来ている。
――――まるで砂糖に群がってくる蟻のようだ。
押し寄せる魔物の群れは大きさは様々だが密度はまさにそれだ。
その塊が森を抜けて第一防衛線まで迫って来ている。
俺はと言うとレオたちと別れ、なぜか本来の
「火薬の樽はコッチだ」
「へぇい……なんて。なんで最前線に戻されるんだよ」
魔物が蟻のように密集してやってくるんだぜ? 普通に嫌。怖いじゃない?
俺って言わばレールガンの開発者で『兵器の運用は任す』なんて言われるに決まってる、なんてたかを括っていたら「ご苦労」の一言であっさり戻された。……とほほだよ、残念。
違うんですよ。
食糧の補充をする時なんか一番危険な任務になる。人間と違って暗黙のレールなんて通用しないし餌に魔物が寄ってくる。
特に俺の担当する第一防衛線は酷い。
第一と名のつく以上は塹壕の中でも最前線で、途中兵種の変更があり、そこへ向けて炸裂弾付きの矢を大量に輸送している。
「おーい、火薬と炸裂弾持って来たぞ、コッチで良いのか?」
「おお、ここに2,000置いていけ。火薬はそこだ」
「へいへい」
盾にされると不満たらたらだった冒険者たちも、腹を括ったのか置いていく端から自分の矢筒に収めて持ち場へ散っていく。
ここらはAランクが多く配置されているから腕に覚えもあるのだろう。
ぎゃわぎゃわ、キーキー遠くからなんかの魔物の咆哮が近づいているのを、気迫で押し返そうとあちこちから鼓舞する声があがる。
「いいかテメェらっ! お宝が来てるぞ。やっちまおうぜ!」
「「おおっ!」」
平成育ちの俺なんかより、よっぽどこの世界の人たちの方が肝がすわっている。
さあ役目も終わったし、と
頭を抱えて伏せろ、の合図だ。
反射的にしゃがんで体を丸めると轟々と空気を滾らせて火の玉が頭上を通り過ぎていった。
城壁から
「うわぁ……もう戦争じゃん」
これが俺の見た
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