第177話 秘密兵器3
ショーカンが発案した新兵器は、押し寄せる魔物の黒い
――――――城壁の上の砲台にて。
シーンと沈黙が包んだ。
「あれ……?」
砲台と吹き飛んだ魔物たちの群れの跡を交互に見比べる。
『冒険者ごときが新兵器だと?』
『多少、魔法が使えると思い上がった下賤の者が』
とか言ってた神聖軍のお偉いさんの口がアングリと開いたままだ。
「ん……成功ってところかな。工房ギルドの皆さん?」
整備に駆け付けていた工房ギルドの技師たちが砲台に駆け寄り、焦げていた配線を早速取り替えている。
「まだ行けますか?」
一発撃ったらお
「おい貴様っ」
甲高い声で神聖軍のお歴々の中から騎士が進み出てくる。
金ピカの鎧に包まれたガイゼル髭。口の端の髭がピンッと上を向いていけすかないやつ。
「ブレードリヒ・フォン・マリウス少尉である! よくぞワシの技を物にしたっ。褒めてやる」
はぁ? と我が耳を疑う。
「あれはワシの『雷撃』を参考にしたのであろう? 『雷撃』を放つには圧、流れ、方向を定めねばならぬ。それの応用であろう?」
いいや、そうに決まっておる、とそっくり返っている。
「つまりはワシがいなければこの兵器は完成しなかったわけだ。この兵器の名は?」
「兵器の名――って」
「あ――良い、皆まで言うな。まだ無いのであろう? そうさな……ブレードリヒ・ドラゴン砲とでも呼んだらどうだ? 元はワシの『雷撃』から来ておる」
す……すげぇ。ある意味すげぇ。あからさま過ぎて信じられねぇ。
だがコイツが言うことも当たってる。なにせこの兵器は――
「ブレードリヒ少尉殿。これはレールガンという兵器です」
簡単な原理くらいは軍オタの空手の師匠から(嫌ってほど)語られて知っていた。
超伝導を引き起こす大量の電気が必要な上に、巨大な設備が必要だったから実戦配備されなかったポンコツ。
あ、一応自衛隊では研究されてたっけ。
だがここは魔法の世界だ。
ミランダに相談すると土魔法のバレットと似ていると言われて、工房ギルドへ持ち込むとあっという間に出来上がってしまった――らしい。
「レールガンか……いいね」
将校たちの奥からエリック少将が現れた。
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