第170話 神聖とは名ばかりの非情
「出来なければこの街は地図から無くなる」とエリック少将からショーカンは告げられる。
――――そう言われればやるしか無くなる。
「――
「ああ、それくらい構わない」
「指名しても?」
「当てがあるならなお良いぞ。遠慮なく言え」
「あと報酬は?」
そこで初めてエリック少将は視線を
と
あれ? どっかで見たような……なんて思っていると、眉間に皺を寄せた偉そうな男が近づいてくる。
「紹介しよう。こちらがアルツール・スメルゲイド男爵である。そしてこちらは――」
「ショーカンであったか?」
細い眉毛の下から酷薄な目を投げてきやがる。
「はて、どこかでお会いしましたか?」
スメルゲイド……スメルゲイド? スメルゲイドってあのビルの親父じゃねぇかよ。
「息子が世話になったそうだな」
と無機質な眼でこちらを見返してくる。
「さて報酬だったか? 防衛は領民の義務だ、嫌なら出て行け――と言いたいところだが、多少の税金は免除してやる」
つまり天引きを減らしてやるから文句言うなってか?
「些細承知です。ではエリック少将閣下、補助は所属するパーティーの『チームリボーン』で請け負っても?」
「構わん――そこへ記録しておけ」
と書記みたいな人に記録させている。
そこへ記入している間に記録の横に名簿らしき物があり、ぼんやり眺めていると妙なことに気がついた。
おそらく今回の
そう言えば領主館に来るまでの間、神聖軍らしき兵を見かけていない。
実際の騎士ってどれくらい街に来ているんだろう?
「つかぬ事をお尋ねしますが神聖軍はどれくらいこの街に?」
スメルゲイド男爵が目の前にいるからつい丁寧な言葉になる。
「ん? 300だ。主に迎撃指揮、指導を仰せつかっている」
領兵は使い物にならない、と聞いたことがある。
と言うことはつまり……こいつら冒険者を使い潰す気だ。
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