第163話 おのれの無力さに歯噛みする
ブレードリヒ・フォン・マリウス少将はショーカンを
「ショーカンッ!」
レオの悲鳴が響き駆け寄ってくる。
それをやっとこさ片手をあげて大丈夫、大丈夫だよと
その間にも不意打ちとは言え、まんまとやられた自分の無力さに腹が立ってくる。
「ちぃ……っとばっかり、殴ってやりたかったがクソっ」
痺れる体が徐々に回復してくると、そこにいるメンバーを改めて見回す。
「や、やぁミランダ、助かったよ。とんでもないイカれ野郎だな……なんなんだあいつ?」
へたり込んだまま首だけミランダに向けると、ゆっくり立ち上がってソファに体を投げ出した。
「どはぁぁぁ。チクショ、やられちまった……」
やっぱり魔法は強ぇや……悔しさに膝を叩く。
「すまん。止める間もなかった」
マーベルは苦虫を噛み潰した顔のまま執務机の引き出しを開けると、ポーションの瓶を投げてよこした。
「神聖軍の兵站を担当する将校さ。
いけすかねぇ野郎だが王都の貴族様だ。あれでも防衛のために来てくれているだけマシな方だから
奥歯を噛み締めているのか頬の後ろの
「これから神聖軍と領軍が中心となり防衛線を構築するんだそうだ。オレら冒険者
さっきのカイゼル髭野郎が持って来たのであろう配置の描かれた地図を広げる。
見ると城壁を中心にいくつもの半円が描かれ、それぞれが縦線で結ばれている。
「
「察しが良いな。これからこの図の通り
「さっきの神聖軍さまは?」
「ちゃんと働くか監督するんだとよ」
「なんでぇ……けったくそ悪い」
「一応、日当と飯は出るんだ――それとな
「ミランダは?」
「魔法使いは貴重な火力だからな――おそらく遠距離攻撃の
と城壁のあたりを指差した。
「なんにせよ明日から振り分けが始まる。今日はもういいから休め」
マーベルは書きかけの書類を手元に持ってきて、しばらく眺めていたが保留の棚へ投げ込んだ。
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