第157話 竜人との対決はかなりズルしなくちゃ無理よね?

 レオを襲った竜人リザードマンにショーカンは逆手でバスターソードを振り抜いた。


 キン……と音がする。

 逆手で振り抜いたバスターソードを山刀マチエットで受け止められていた。

 そのまま柔らかく上へと力を逸らし、腰を沈めるともう片方に持った山刀マチエットを突き出してくる。


 咄嗟にオールで漕ぐ様に弾き返すと、逆手から順手へと持ち替えた。


「キュルエェェ――ッ」


 甲高い気合いとともにもう片方の竜人リザードマンが襲いかかって来る。

 そちらにバスターソードを振り牽制すると、もう片方が距離を取った。


 ボウガン持ってるし?!


 接近戦を片方に任せて射抜く気だ。

 そちらに気を取られている間に右手から片割れが斬りつけてきた。


「ギャワッ、ギッ!」


 二手、三手、と両手の山刀マチエットを振るい、そちらに意識を持って行かれそうになる。


「ギャ!」


 ボウガンを構えた奴が短く鳴いた。

 撃つから離れろ、ってか?

 

「収容――からの『在庫システム』」


 シュッと音がした瞬間に足元の長盾を収納し、側面に顕現させる。

 カンッと矢が弾かれた。


 あっぶうっ……(汗)


 こんな急速収容と顕現なんてした事なかったから、やばかった。

 これもなんか進化してる気がする。


「ギャワ?!」


 長盾の向こうで驚いてる声がする。

 動揺してるなら今が反撃時だ。右手にいた奴に体を向けてバスターソードを脇構えに後ろへ隠すと腰を低く構える。

 これで相手は間合いがわからなくなる。


 こうなると二人組で襲いかかってくる率が上がる。片方が左右へ動いて牽制する間に、もう片方が襲うパターンだ。だが、視界は俺の長盾で遮られているから呼吸を合わせようにも、片割れが姿を現すまでできないはずだ。


 出てくるとすれば味方のいる正面の奴の隣ではなく、俺の背面――真後ろに決まっている。

 だから罠を仕掛けていた。


「レオッ今のうちにできるだけ離れろっ」

 声をかけたのと同時だった。


「ギャワッ!」


 一声鳴いた竜人リザードマンの目線が俺の後ろを見た気がする。


 ふわっと空気が動いた時


「在庫システム『隕石落としメテオストライク(極小)』」


 ガコッと何かが外れた音がして中空の扉が開く。


「ギャワッ?!」

「グへッ」


 くぐもった声が上がりうしろからズシーンッと地響きがした。

 驚きに目を見開く正面の竜人リザードマンに滑るように近づくと、脇構えに隠していたバスターソードを振り抜く。


 慌てて飛び退いた竜人リザードマンは空中で真っ二つに両断された。

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