第150話 レオの使命とショーカンの決意

鑑定眼真実を見通す目』でレオは自分がレオナである、と鑑定され混乱する。


 ――――ショーカン目線です。


「――どんなに馬鹿げていようが、レオがそう言うなら俺は信じる。

 使命があるって言うなら手助けする。俺はそのためにここへ送られてきたんだよ、きっと」


 そうレオに言ったのは孤独にさせないためでもあるし、何よりこちらに送り込まれた時の、あの情報メッセージの答えのような気がしたからだ。

 

『ジャンクション、立体交差……特異点。女の子……守れ。チート……鎧騎士』


 レオとレオナの因縁が何かはわからないが、交わるようですり抜けてしまう立体交差のような運命だとすれば、あの一部分は説明がつく。


 レオでなければ解決できない何か、があるからフィロソフォス知恵を愛する者・タレスは行動を促したんだろう。


 でなければ、この国の権力者に直接『使命』を告げるはずだ。

 それをしない、もしくは出来ない事情があるからレオに使命を託したんだろう。


 果たしてそれが何なのか? はわからない。

 だがレオが孤独にさいなまれ、未だわからぬ使命への重圧で潰される事だけは、絶対に避けなければならない。


 右腕から伸びる光る糸のような魔法絆バイパスがレオの不安で心細い気持ちを伝えていた。


「なぁ、レオ。今から地上へ戻って、ミランダに相談してみるか?」


 ミランダあいつとも魔法絆バイパスは繋がっているし、『鑑定眼真実を見通す目』の事も知ってるはずだ。

 レオはしばらく考えていたが、


「ほんとショーカンはバカでお人好しだよ」


 そう言って排膿バックパックから寝袋を取り出し潜り込んでしまった。


 ――――その翌日。


 十分に休憩を取った俺たちは、第5層へと向かう。

 途中、不死者アンデッドが湧いて出てたが、俺の聖水鉄砲の餌食にした。


 ◯ルヒャーの高圧洗浄機みたいにビシャ――ッとぶちまけてやったよぉ。ふふふふ……。


「聖水のありがたみが……」

 レオが眉間を揉みながらブツブツ言ってる。


 あの後レオはなんか吹っ切れたみたいで、いつものペースに戻っている。と、言うか開き直ったと言うか。


 小さな扉を開けると、外の昼間と見紛みまごうくらいの明るさの中に草原が広がり、その奥に森が広がっていた。


「さぁ、狩りの時間だ。確か第5層は幻で惑わすんだったな?」


「そうだよ」


「じゃあ、アレは幻なのかな?」


 草原を悲鳴をあげながら逃げてくる冒険者たちがいる。


「ち、違うと思うけど」


 必死の形相で走り寄ってくる冒険者の後ろから、巨大な水牛の一団が地響きを立てて迫っていた。

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