第151話 闇落ちの正体
第5層に入ると、必死の形相で逃げてくる冒険者の後ろから、巨大な水牛の一団が迫っていた。
「逃げろぉ、
先頭の革鎧の男が叫んでる。
「闇堕ち?」
「凶悪化した魔物よ。ただでさえ凶暴なのに表皮は鉄も弾くし、魔法にも耐性がある。逃げなきゃ!」
律儀に説明しながら第4層の扉へ駆け出すレオ。
それに釣られるように俺も駆け出したが、後ろから悲鳴が上がる。
「ぎゃぁぁぁ――っ」
盾役と思われる男が吹き飛ばされている。
「くそっ、『在庫システム、バスターソード』」
「ダメだって、ショーカンッ。逃げなきゃやられるよ」
「先に逃げろ、どのみち追いつかれる」
そう言い残し闇堕ちどもに向かって行く。
近づいて来るほどに巨大さがはっきりしてくる。普通の水牛でさえデカいのに、こいつらときたら10tダンプ並みだ。
横に張り出した角は丸太のように太く、それを支える頭なんか軽自動車くらいはある。
「んなぁ?!」
それが突っ込んで来るからひき肉にされる未来しか見えない。
思わず飛び退くも、その後ろからも後続が迫ってくる。それも20頭はいるんじゃないだろうか?
「嘘だろ?! 群れかよっ」
横っ飛びに飛び退いてやり過ごすと、血走った目でこちらをジロリと睨んでやがる。
ドカドカと足を踏み鳴らしてぐるりと回ると、こちらに向き直った。デカいわぁ……。
「ヤル気……みたいね」
冷や汗が流れた。
バスターソードをかざして威嚇しながら、遮蔽物を探してあたりを見回すと、蹄の跡が地面を
サイズが小さくね?
見上げるほどの水牛にしては蹄の跡の大きさが明らかに小さい。
「ひょっとして――?」
第5層は“幻穴”と言われるんだった。ひょっとして水牛は実際よりも大きく見えているだけかも知れない。
「ブモォォォ――ッ」
空気を震わせる咆哮を上げながら突っ込んでくる水牛が、丸太のような角を振り回してきた。
「んなぁぁぁ――ッ」
ヤケクソの気合いで迫る角をぶっ叩くと、思ったより衝撃が少ない。
水牛の首がカクンと折れて、ちょうど目の前に水牛の頭が見えたから、振り下ろしをぐるんと
「ブエェッ」
短い断末魔の声をあげて水牛は魔素を吐き出し、シュルシュルと小さくなると肉と皮を残して消えた。
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