第139話 社畜の悲しき習性
――――ショーカン目線です。
いつものように、と言うかなぜか冒険者
習い性とは恐ろしいもので謎の罪悪感に背を押され、
一応出勤前にレオにも声をかけたが、今日は家政婦さんが休みでラエルの面倒を見るんだそうだ。
冒険者が溢れるロビーで受け付け嬢の盗み見る目線を感じるが、昨日のレオの話のせいで気恥ずかしい。
実は
入り口の正面がカウンターでその左手に依頼が掲げられているボードがある。
そちらにコソコソと隠れるように進みいかにも仕事を選定してます、みたいな体で誤魔化していると、つい肩が当たった。
「あ゙?」
ジロリと見返してくる
革鎧の肩や
俺の顔をじぃっと見てる。
「あ、ああ、すまない」
素直に謝まりその場から立ち去ろうとした。
「待てよ。この前派手にやらかしていた
ここはDランクの掲示板だ。見習いはあっちだ」
と親切にも教えてくれる。
見た目と違い意外と良い人?
「ありがとう」
教えられるままに見習いのボードへ行くと頭上からドスの効いた声がかかった。
「よぉ、ショーカン来てたのか? たんまり稼いだんだ。休むと思ってたぜ」
ザワザワと騒がしかったホールが一瞬静かになる。
カッカッと階段を小走りに駆け下りて来たマーベルが、俺の首根っこを引っ掴んで周りを手招きした。
「おい、こいつは今度Dランクに上がったんだ。納品金額はCランク、ポイントは二人で2400ポイントも叩いた」
「なに?」
「一体どうすりゃそんだけ稼げるんだよ?」
「――裏でやりやがったな?」
なんか凄い睨まれてるんですが?
「おいっ、変な詮索するんじゃねぇぞ」
どうなんだ……と凄むマーベルにあたりは静まり返る。
「何のことはねぇ、コイツは下水道の清掃を60件こなした」
「「「おお?!」」」
謎の感嘆の声が上がる。
「それには秘訣があってな……今ならそれ込みで依頼も出せるがどうする?」
「お、俺は請けるぜ。多少気持ち悪いが危険はねぇんだろ?」
あちこちで声が上がり始めたのを満足げに見渡すと
「ここはお前たち『是非コツを教えて』と酒代でも出して飲みに誘うもんだろうがよ?」
と煽ってくる。
なぜかそのまま酒場に拉致されて宴会がスタートした。
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