第137話 突然の恋バナ ?
取引きをすませて新しく借りたアパートを目指す。俺も護衛を兼ねて同じフロアの隣に借りたから帰る方向も一緒。
道すがらレオが聞いてくる。
「ねぇ、ショーカン。手間賃で良いって言ったのに、あんなに貰って良かったの?」
「ん? 魔法使いになるには何かと入り用になるんだろう? レオが魔法使いになれたら俺も助かるから投資だよ」
元の世界と違って安全が担保されているわけじゃない。
魔法という特殊な技術を手に入れられれば、ミランダを見て分かる通りずいぶん融通が効くようになる。
それに貰えた報酬だって、たまたまレオの護衛を神? から任命されたから、俺もこの不思議なスキル
「たまたまラッキーでもらえた報酬だ。貯めておけば何かの時に役にたつ」
言わずもがなだがちゃんとその辺はレオも考えているようで、冒険者
それでもまとまった報酬をもらえて嬉しいらしく
「ラエルのことなんだけどね、もう少し貯まったら王都の病院に診てもらいに行きたいんだ」
と計画を語り始めた。
これまでも散々話してきたことだから、うんうんと相槌を打つと決まって
「今度、ミランダさんが戻ってきたら相談してみようよ」
と持ちかけてくる。
「そりゃあ良い。いや是非そうすべきだ」
何度繰り返されたかわからない絶望を乗り越えて手にした報酬だ。レオの好きなようにさせてやりたい。
「ところでショーカンってさ。ニホン国にいた時、結婚してたの?」
「うん、うん、――へ?」
突然何をおっしゃるのですか?
「どうなのさ?」
「どう……って、縁がなかったな」
「どう言う意味?」
「結婚できなかったって意味さ」
「なんか風習があるの? 決められた身分じゃなきゃダメとか、家が決めるとかさ」
「そりゃ大昔ならそんなことがあったのだろうけど、単純にモテなかったからな」
「ふ〜ん?」
「なんだよ?」
「受け付けのリサさんが聞いてきたんだよ。ショーカンって恋人いないの? ってさ」
「へぇ、あの人リサさんって言うのか」
思えば受け付けさん、としか呼んでなかったな――来たか? 来たのか? 俺のモテ期。
「そっか……そうなんか?」
新居のアパートに到着すると、にへらぁ、と笑う俺の脛を蹴飛ばし
「なにさ、気持ち悪い」
なぜかレオはご機嫌が悪くなりエントランスへ駆け込んでいった。
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