第134話 やり過ぎたるはしない方が良かったと後悔する羽目になる
下水道をエリア洗浄し一帯を除菌してピカピカにする。それを繰り返すことひと月。
受け付けに完了書を出すとマーベルが呼んでいると呼び止められた。
ロクでもない予感しかしないんだが――引き留めた受け付け嬢に、後からくるレオの案内を頼むと執務室に向かう。
「なんか用か?」
「相変わらずだな? まぁ座れよ」
ソファを勧められるが嫌な予感しかしない。
「またロクでもない事を言い出すんじゃねぇだろうな?」
と俺が警戒していると
「相当堪えているようだな?」と笑う。
「一箇所7日はかかるヤツだぜ? それを60も押し付けられりゃあ、誰だってそうならぁ」
疲れ切った体をソファの背に沈めると、ノックがしてお茶を運んできた受け付け嬢と、レオが入って来た。
レオが俺の隣に腰を下ろすと、受け付け嬢はお茶を出し帰り際に意味深な笑顔を残して立ち去る。
「疲れたところを呼び出して悪いが、要件はこれだ」
ニッと笑いカードを差し出した。
「手に取ってみろ」
と手をヒラヒラさせる。
ちょうどキャッシュカードのサイズで下地が白く三本の横線が走っている。
「これは……」
とレオの指先が少し震えている。
「これがDランクカードかい?」
俺はこんなもんなんだな、くらいの感慨しかない。
裏面いっぱいに謎の魔法陣が描かれていて、これに身分証のデータやら
材質は特殊な樹脂が使われているようで、要するにキャッシュカードだ。
「もうちょっと感動しろよ。渡し甲斐のないやつだな」
マーベルは顔を
「さて後はそれに俺のサインを入れれば発効される。身分証と資金を預かる機能つきってやつだ。
その前にあんだけの依頼をどうすればひと月で終わらせられる?」
「完了のサインは全てもらったはずだが? 仕事を早く終わらせて文句はないだろう?」
「確かにな。だがこれを見ればそうはいくまい」
と机の引き出しからドサリと書類の束を出して来た。
まさかの……?
「やりすぎだ。追加で依頼が来ちまった」
はぁぁぁん! 涙目で言葉が出ないわよ。
「かと言って
と机の下からドサリと袋を取り出す。
「希望者がゾクゾク出て来やがった。報酬だ、受け取りにサイン――の前にノウハウを教えろ」
そう言ってマーベルはじっと俺を見つめた。
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