第133話 下水の神様
単純作業に頭がボォっとしてきて、流れ落ちる茶色い水をぼんやり眺めているうちに閃いた。
洗浄水って汚れを吸着しているんだよな? ならミスト状にして噴霧した方が広範囲に届いて効率良んじゃね?
確かアンデッドをエリア浄化した時やったよね?
思いついたが吉日、と指先から噴射させていた洗浄水を極細にして
が、汚れがドロリドロリと崩れ落ちるだけでなんかまどろっこしい。
ええいっ 噴射口が足りねぇ。
確かあの時は
じゃぁ〜ん! 脳内エフェクト付きで
「湧き立てっ、洗浄水の雲よ! この場を覆い不浄なるものを清めたまえぇぇ」
その場のノリで適当な呪文を唱えると
モクモクと覆い尽くした霧は壁と言わず天井と言わず覆い尽くし、目の前が真っ白になる。
ブワァ――ッ、ベチャベチャベチャァァッと海苔っぽいものと、ヌルってたのと蟲やらネズミやら訳の分からない生き物まで汚水の中に落ちていき、その汚水もゲル状の何かと水に分かれて流れていく。
「はぁっはっはっはぁ――っ」
空気まで清々しくなっていくから笑いが止まらない。
「そう、まさにこれぞ神! 俺氏、まさに神どぅあ〜っ ま、下水の神だけどね……ふふふっ」
その場のノリで俺神ごっこをしていると
「ショーカンッ、ショーカンッ!」
と慌ててレオが降りてきた。
「どうしたの?! 大丈夫……ぶぇ?」
口元を押さえていた布がハラリと落ちそうになる。
慌てて口元を押さえ直すと、カンテラであたりを照らし始めた。
「うわぁ……なにをすればこんなに?」
苔もヌメリも綺麗になくなっている。
なんならリフォームしたてのビルの外壁みたいに、壁面から整備用の人道まで綺麗になっていた。
「ショーカン……やりすぎ」
ぬぬ? ――致し方なし。
そんな事を繰り返してひと月。
60件目の依頼を完了させて依頼主からサインをもらうと、冒険者
朝から晩まで働きずくめで流石にヘトヘトになっていた。いつものように
自分の分とちゃんと分けるのも年頃の子への気遣いだ。
受け付けに完了書を出して帰ろうとすると呼び止められた。
「
ロクでもない予感しかしないんだが?
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