第130話 冒険者ランクのこと
「ショーカン、お前下水道で何やった? 商会から下水道を清掃してくれってこんなに依頼が来てるぞ?」
ドサリと書類の束が置かれた。
嫌な予感がする。
「そりゃ良かったじゃねぇか?
「そぉっかぁ……お前のやったところ、腐臭がしなくなったと評判らしくてな。それを聞きつけた周囲の商店街が次から次へ――」
と言うわけだ、と書類の束にドンと手を置く。
「なぜ俺を見る? 勘弁してくれ」
臭いがこびりついてラエルには臭い臭いと嫌われるし、飼い猫のブチャにも威嚇された。
そんな俺の泣き言をどこ吹く風とマーベルは「良いのかぁ?」とじいっと見てくる。
「ショーカン、レオの
と思わせぶりなため息を吐く。
なに? レオの件?
「なんの件だよ?」
ぶぅと不貞腐れたように振り向くと、レオはトコトコ近づいて俺の袖を引っ張り一緒に聞いて欲しそうにする。
ミランダを見ると苦笑いして肩をすくめる。
「依頼を受けるためには、同じパーティーでランク差が2以内って規定があるのよ。格差がありすぎるといろいろと――ね」
逃げ遅れて低ランクが死んでしまったり、金銭面のトラブルも多いのだそうだ。
「なんだそりゃ? 初めて聞いたぞ?」
ジロリとミランダを見ると、ごめんちゃいと可愛く手を合わせた。
「私のランクがB。で、2人は納品金額が凄すぎてFランクになったの。そうすると」
マーベルが厳つい顔を破顔させた。
「見習いを連れ回すぐらいなら目を
「はあ?! 10年勤めてDランクになるのが普通じゃねぇのかよ? (パーティーは)無理だろが」
マーベルは呆れ顔で
「お前な……研修ちゃんと聞いてたか?」と研修テキストを引っ張り出した。
「冒険者ランクは納品金額と依頼をこなした年間ポイントで決まる。
それは良いよな? とマーベルが念押ししてくる。
なんか聞いた気がするッス、ウスッ。
「お前らはとっくにDランクの納品金額を超えてるんだよ。あとは昇格ポイントが必要だ」
つまり……?
「この下水道清掃は全く人気がねぇからポイントは高くつく。この依頼を全部こなせばDランクに上げてやれるんだが、どうだ?」
「それで良いのか?
「依頼料を倍に吊り上げたからな、損はない」
マーベルはマフィアのボスのようにニヤリと笑った。
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