第121話 反発するビルと前を向くレオと
俺はビル・スメルゲイドに謝罪を要求するが、貴族は神と謝罪するようなことをしないと約束しているから謝罪は出来ない、と言われる。
「なら話は早ぇや。もう貴様は貴族じゃねぇ」
ビルを睨み返すと
「これが神との約束って言えるやり口か? 胸に手を当ててしっかり考えて見やがれっ」
ビルの血相が変わった。
「貴族がなんたるかもわからぬ
なんだか周りの方があわあわとなり始め、マーベルが俺の
「いい加減にしろっ、ビルもだ」
頭がくらくらするぐらいの大音声で怒鳴りつけられたから、その場が毒気を抜かれて静かになった。
「ショーカンよ。レオ君を差し置いて勝手な話をしてるのはビルもオメェも一緒だ。
ショーカンの貴族への不敬な発言も看過できねぇし、ビルも
なぜだか二人とも怒られているんだが?
「俺はだな、レオの心が心配なんだ。心にフタを強引にはめても――「ショーカン」」
後ろから声がかかり振り返るとレオがいた。
サファイア色の瞳に決意を秘めて俺をまっすぐ見ている。
「もう、良いよ。
とペコリとマーベルに頭を下げる。
そして――と俺へと向き直る。
「ショーカンも。私のために怒ってくれてありがとう。ショーカンはこの国のことも貴族のことも知らなすぎるから無茶しないで」
ときっぱりと言った。
「なぁレオ……お前はそれで良いのか? 心にフタをしてもどこかに歪みが生まれんぞ。それが心配なんだ」
レオはしばらくしたを俯いていたが
「……もう終わらせたいんだ。夢も叶いそうだし、そのためにはこんなことに構ってられないし。これで終わりにして引きずりたくないんだ」
と強い眼差しで俺を見返して来た。
やれやれだ。
本人が前を向いているならそれで良い。ビルとの因縁を蒸し返しても、思い出しては傷に塩を塗り込むことになるなら逆効果だ。
「わかったよ。マーベルさん、俺はこれ以上何も言わねぇ。良いようにしてくれ」
と頭を下げた。
マーベルは怖い顔のままビルへ視線を向ける。
「ビル、テメェはどうなんだ?」
「あ? クソ面白くねぇが、今日のところはこれで帰ってやる。言っておくが俺は納得してないからな」
そう言って手荒に扉を開けると出ていった。
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