第102話 冒険者の休日
「おまえも今夜泊まっていけ。冒険者登録費と宿泊費はさっぴくが問題ないだろう?」
と付け加えるように言うから笑うしかなかった。
倉庫に着いた俺が
――――その翌朝。
昨日は取り乱していたレオも、弟のラエルと飼い猫のブチャと再会するとすっかり安心したようだ。
仮眠室でシャワーを浴び、着替えて食事をとると少し落ち着いたように見える。
1週間は休息しようとミランダからの提案に、俺は流れでこの
金は潤沢にある。
昨日の素材卸しで冒険者
もちろん約束通りその中からミランダにはレオへの教授料を支払い済みだ。
ミランダは、旧パーティの葬儀と遺族への慰問やレオの教材の購入で走り回るらしく別行動で、俺たちは職員に連れられて保護施設へ行くことになった。
それは
「ラエル、もう安心だからね」
と繰り返すレオ。
「お姉こそもう大丈夫なんだからね」
と弟のラエル。
この弟くんは「お姉は僕が守る」と言って聞かないから、思わず頬が緩んでしまう。
着替えやら何やらを購入しに市場に出かけ、帰る頃にはもう昼くらいになっていた。
「ショーカン、いくら使った? 忘れる前に払うよ」
とレオが声をかけてくる。
ちゃんとレオの取り分は渡してあるから、レオの機嫌も良い。
「ん? 俺の分のついでだからいらねぇよ」
と、手をヒラヒラさせる。
やっと再会できた祝いのつもりだ。
「それでもさ、なんかさ……」
と言い募ろうとするレオに
「『共助の情け』を受けとらねぇってか?」
と凄むと
「なんかその先輩面がムカつく」と肘鉄を喰らわして来る。
それを見たラルフが無言で蹴りをかまして来るから、ひらりと避けると抱き上げて髭面をゴリゴリ押し付けてやった。
「やめろぉ」
とグーパンして来るが俺は怯まない。
「お姉を守るんだろう? これは修行だぁぁ――っ」
と
「や め て」
と刺さるような目にラルフを解放し、腰に手を当てて高笑いをする。
たまにはこんな日があっても良いよな?
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