第88話 いざ三層へ
「――互いの正義を賭けてまた会おうではないか
チャリン、と一枚のコインを残して、
――――引き継ぎショーカン目線です。
「ひさびさに胸糞悪いやつだったぜ」
拳を握りしめてフンスッと胸を張ると、周りにいた亡霊たちがキラキラと金色の光を放ちながら消えていく。一人一人俺に向けて頭を下げては消えていく。
「……せめて生きている間に救えたら良かったな」
寂しいような切ないようなやりきれない独白をこぼしていると、ミランダとレオが近づいて来た。
ミランダはその幻想的な光景を見ながら、旅立っていく亡霊たちに祝福の魔法とやらをかけながら
「生きながら殺されて――しばらくは良いそうよ。ありがとうって言ってるわ。あなたがジル伯爵を倒さなければ、無念の鎖に縛られて永遠に
と伝えてくれた。
レオにも黙礼をして感謝の気持ちを伝えると、わかってるってと手をヒラヒラさせた。
「俺だけの力じゃない。
そう聞くと驚いたように右腕をさする。
「あら? 私とも
何がどう新発見なのかはわからないが、力を送ってくれたのだけは間違いないらしい。
何かに気づいたように、レオがトコトコと歩いて行くとジル伯爵が消えたあたりの岩肌を探っている。
「あれ? さっきのコインは? 素材も落ちてないし」
クルリと振り返ると驚いたように目を大きくさせている。
「コインは
と言って先を促したんだが――
「あれ? そう言えばショーカン亡霊系ダメだったじゃない? なんで今そんなに落ち着いちゃってるの?」
と、レオが敢えて意識を逸らしいてた事を持ち出してくる。
「だから早く出ようって言ってるんだよっ。ちびるぞ? 良いのか? 漏らすぞっ」
「うわっ、ばっちい――っ」
ケラケラ笑いながら洞窟を駆けて行く。
ここに入った時のおどろおどろしい雰囲気は綺麗になくなり、洞窟全体が暖かな光でぼんやり光っている。
「どうやらこの洞窟全体が浄化されたみたいね。悪霊系の魔力の流れもないわ。でも警戒は怠らないでね、レオちゃんもっ」
と先に駆けて行ったレオを呼び戻し隊列を組み直すと、第三層めがけて歩き出した。
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