第84話 国家規模のやばいヤツ
第四層の洞窟で出会った男は救助を求めて来たのだが、両掌で顔を覆い隠したかと思うと爪が鉤爪に変わり、飛びかかって来た顔は口が耳元まで裂けていた。
「きゃぁぁ――っ」
俺は悲鳴をあげた。
お、お口がっ! お口が耳元まで裂けてるんですものっ。しかも犬歯が牙みたいに伸びてるしぃぃ――っ。
「『
ミランダの声が響き男は炎に包まれた。
「ギャァァァァ――ッ」
洞窟に男の悲鳴が響き渡る。
生きながら
「無駄よ。魔力の炎はこちらが魔法を解くまで焼き尽くす」
やがて動かなくなるまでじっと見ていたミランダが、ロウソクの火を消すように
「貴方、
冷たい目で見下ろしている。
「い、言ったところで殺す気だろうが?!」
焼け
「もちろん教えてくれるなら『浄化』ですぐに楽にしてあげる。言わないのなら何度でも焼く」
怖えぇぇ――ミランダが容赦なくて怖えぇ。
「ぐぞぉ……っ」
主は……と言いかけた時ソイツの首が弾け飛んだ。
「ふぅ……これだから人間の眷属は当てにならない。ちゃんと分け前も上げるって言ってるのにねぇ」
偉そうな
洞窟の奥から光が沸き立つと、その光を背景に長身の男が靴音を響かせて近づいて来た。
「初めまして、お嬢様がた。そして半端者のリビングアーマー。私の別邸へようこそ」
まるで映画に出てくるドラキュラじゃねぇか?
「まさかこんな階層に出てくるとはね。15層のバケモノがなんのつもり?」
「バケモノとは酷い言われようだ。私にはジル・ド・ラヴァルという名前がある。ジル伯爵と呼んで欲しいね。ちゃんとコンスタンティ皇国の伯爵家に列せられているよ」
「まさか堕ちた英雄が
「その心配はないよ。なにしろこの
なんか国家規模のやばいヤツなんですが?
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