第80話 リビングアーマーはビックリ箱

 ミランダからの提案で、ミランダがリーダーとなってチームリボーンは冒険者パーティーに再編成することとなった。


 ――――引き継ぎレオ目線です。

 

「さて、階層異常の魔物発生の件はおいおい検証するとして、食事にしましょうか」


 ミランダさんはマジックポーチから乾パンの包みと干し肉を取り出して分けてくれる。


「スープを作るからちょっと待ってて。容器が私のしかないから回し飲みになっちゃうけどごめんね。ここにはキッチンもトイレもあるから便利なのよね」


 と勝手がわかっているのか扉を開けると、キッチンらしきところへ入って行った。


「容器ならあるぞ? 調理器具も鍋もあるから3人分作ろうか?」

 とショーカンが声をかけるとダッシュで戻って来た。


「なに? なんなの? 貴方の空間収容イベントリは10層で芽生えたスキルなら、そんなもの入れる暇ないでしょ?」


 どんぐりまなこになってるミランダさんと入れ替わりに

「在庫システムのことは話したろ? あれで手に入れた」

 と言いながらキッチンへ入って行く。


「在庫システムって……そんな魔法聞いたことないわよ」

 呆れた顔でそれを見送るミランダさん。


「まぁ、ショーカンはビックリ箱だから」

 と私。

「ほんとね……」ミランダさんがゆっくり頷いていた。


 ――――キッチンから美味しそうな匂いが漂ってくる。


 竈門の火はショーカンが回廊から持って来ていた松明たいまつを薪にして、私は火起こしを手伝ったから私も食べる権利はあるはずだ。


「――あるわよね?」

「気にすんなって。レオは休んでろ」

 と追い出されたからソファでくつろいでいる。

 

 やがてゴロゴロの根菜と一角兎ホーンラビットの肉の入った鍋を持って、ショーカンが現れた。

 それを白い深皿に3人分装って行く。


「男飯だからな? 味は保証しないが量はたっぷりあるぞ」

 と配膳を終えると固まってるミランダさん。


「貴方ね……この陶磁器はどうしたの?」

「サーベルタイガーの牙があったから在庫システムで交換した」


「サーベルタイガー?!」

「良いじゃねぇかもう、さっさと食うぞ。ほれスプーンとフォーク置いとくぞ? いっただきま〜す」


 と号令すると乾パンをスープに浸して肉と根菜を頬張って行く。釣られるようにスープを口にしたミランダさんの目が見開かれた。


「なにこれ?」

「美味しいでしょ? ショーカンは料理も美味いんだ」

迷宮ダンジョンでこんな本格スープって、あり得ない……」


 しばらくミランダさんのビックリは続きそうだ。

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