第78話 ミランダの提案2
「それよりもっと良い考えがあるからよ。私たちパーティーを組まない?」
「へ?!」
――――レオ目線です。
「内弟子ってね。タダ働きな上に雑用は多いし報酬はピンハネされるし、ろくなもんじゃないわよ? それでも良いの?」
ミランダさんに言われた時、迷う理由なんてなかった。
だって魔道士の弟子入り出来るって、平民ではまずあり得ないから。
もちろん学園に通って魔道士になるってことも出来なくはない。
だけど学園卒の魔道士と、内弟子あがりの魔道士は雲泥の差がある。
この手の例え話で、引き合いに出されるのが鍛冶屋さん。
技能学校を卒業して職人になる方法と、弟子入りして職人になる方法があるけど、同じ年数を過ごしても技術は天と地の差が生まれる。
それは学校で一般的な技術を習得して社会に出るのと、『売れる商品』を『売れる品質』で仕込まれる差だ。
同じように魔道士に師事した方が『使える魔術』を『使える威力』で発揮出来るように仕込まれる。
だからミランダさんへの弟子入りが叶いそうな流れに、私に否はなかった。
ところがミランダさんは弟子入りを断り、パーティーを組まないか? と言う。
あまりに急な提案に戸惑って不満がそのまま顔に出てしまう。
「なんで……?」
「これでも弟子入りを希望する貴族の子息は結構いてね。今までは面倒だったから弟子を断っていたけど、そいつらを差し置いてレオちゃんを弟子に取ると貴族から風当たりが強くなるのが一つ」
それなら貴族のような後ろ盾がない人は魔道士の弟子なんて無理じゃない?
こんなところにも身分の差があるなんて。
そんな私にお構いなしにミランダさんは続けた。
「魔道士は魔道士協会に所属してるのは知ってるでしょう? 協会の規定で弟子からは教授料を取らなくちゃならないし――」
と言葉を切って私の顔を覗き込んできた。
「レオちゃんは私に弟子入りして教授料を払った上に、自分の生活費も稼ぐアテはあるの?」
そんなものは無い。
やっぱり貧乏人は魔道士になんてなれないんだ――惨めで情けなくて泣きたくなった。
「だからよ――同じパーティーメンバーに補助の魔法を教える分には教授料は取らなくて良い規定があるの。魔道士が負傷した時に生き延びるためね。
私も盾役も攻撃も出来る
そう言うと綺麗にウインクして見せた。
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