第68話 ミランダ・マレーとの邂逅
ため息のような声を最後に、巨大な鳥もどきは魔素を吐き出し消えた。
「コカトリスが消えた……? 素材も残さないなんて……」
女の声が背後から聞こえ、振り返ると黒ローブが近づいて来た。
フェイスガードを押し上げてその声の主を見ると、二十代後半くらい?
土ぼこりで汚れてはいるが白い肌に垂れ目がちな目、細く整った眉と小振りな整った鼻筋の下で、真っ赤なくちびるが気遣わしげに結ばれている。
「あの……あなたたちは大丈夫なの?」
レオより小さいから150センチくらいだろう。黒ローブの下には革鎧を着込んでいるが、ピンと伸びた姿勢から鍛え上げられたしなやかな肉体をしていると想像できる。
「アンタこそ大丈夫だったか? あの鳥もどきに追われて来たんだろ?」
「鳥もどき? ――ああ、コカトリスね。この階層で出くわすなんて普通あり得ないんだけど。擦りつける形になってごめんなさいね」
「いや――それより鳥もどきが火だるまになってただろう? あれはアンタの仕業か?」
「ええ、
そうか……魔法ってとんでもない威力があるんだな。
あんな恐竜みたいな鳥もどきを火だるまに――ん? まてよ、ということはコイツは。
「つーことはアンタ魔道士か?」
黒ローブの女は不思議そうな顔をして黒ロープをヒラヒラさせる。
「この格好を見て他の職業を思いつくなら聞きたいところね」
「いや……まぁ、初めて見るからな。会えて光栄だよ」
レオへ振り返りおいでおいでと手招きする。
「俺たちはチーム『リボーン』だ。こちらがチームリーダーのレオ。俺はショーカンという」
レオの軽く攻めるような視線を無視して、そちらは? と首を傾けて名乗りを促す。
「へぇ……てっきり貴方がリーダーとばっかり思ってたけど――ずいぶん若いリーダーさんね。
お会いできて光栄よ、レオさん」
軽くウインクしてレオに片手を差し出した。
「ミランダ・マレーよ。これでもB級の冒険者なの。今日は冒険者組合の依頼で、階層に見合わない魔物が出現する調査で来ていた」
とレオと握手を交わす。
「リーダーとかショーカンが勝手に言ってるだけ。事情があって取り残されたときに、偶然出会ったショーカンに出口まで護衛してもらってる」
「取り残された? 貴方を置き去りにしたパーティーがいるってこと?」
ミランダが軽く美眉を寄せた。
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