第58話 第6層へ
第6層への出口に待ち構えていたのは、フランス人形の魔物? だった。むしろ呪物に近いんじゃないだろうか?
俺は50キロの岩塩を
「あーあ。派手にやったね」
レオが呆れている。やがて何かに気がついたのか、瓦礫の中からボロボロになった人形を拾い上げて来る。
「これが見えてたの?」
「やめろぉ、たぶん呪われてるぞっ。それ」
「そっかな?」
そう言って人形をあちこち漁ると
「ん?」
と手を止めるレオ。
ボロボロになった人形の衣装から紙片を取り出し、しばらく見入っている。
「早く捨てろよ、そんなもん」
「これさ。アンタの
「やだよ、そんな呪物」
口をとんがらかして反論すると、手にした紙片を見せてくれる。
『愛するジュリアへ』
消えかかった日付と、ただそれだけが書かれている紙片。
「きっとここで
そっか……だからあのフランス人形は『ママ』と呼び『寂しかった』と訴えたんだな。
そう思えば哀れに思えてくる。
「ああ、レオがそれで気が済むならそれで良い」
俺は黙ってその人形を
――――第6層に入ってみると。
乾燥した風が吹きつけて来た。
薄暗かった
あたり一面イネ科と思わしき草が密生した草原に、丈の低い樹木が散生するような景観。まるでアフリカのサバンナ地帯だ。
肌感覚で気温は20℃以上はあるのかな? やたらと乾燥してる気がする。
「レオ、そこっ」
指差した時にはもう投石器から瓦片が放たれてた。
「ヨォシ」
満足げに仕留めた
レオも腕を上げていて、7層では俺が壁役になって補助してあげるだけで、軽トラくらいのボア(猪のような魔物)を仕留めたくらいだ。
「あそこにちょっとした丘があるだろう? その先が
草原の中、踏み分けられた道が緩やかなカーブを描いて続いていて、俺たちは足を早めた。
「なんかいる……」
先行して歩いていた俺は後から来るレオを手で制した。
目を凝らさねばわからないほど風景に溶け込んでいたヤツがゆっくり姿を現した。
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