第51話 ミックスダブルス

 俺はこれまでたくさん魔物を倒してたよね?

 その分魔素も――という事は俺?


 やってやろうじゃねぇの――所詮は自分の尻拭いってことで。


「ぬあ――ッ」


 俺はバスターソードを振り上げて、オーガの群れの中へ飛び込んでいった。


――――レオ目線です。


「げ!?」


 私を安心させるためにフェイスガードを上げて見せた顔は血が流れていた。


 大丈夫?!

 って聞きたかったけど驚きすぎて言葉にならない。

 死霊騎士リビングアーマーが流血?!

 

 前に進化すると人間に戻れるって話してたけどそのせい?

 いろんな驚きでショーカンの具合を聞き損ねた。――流血してるってことはまた死ぬ事もあるわけで。


「ともかくレオは下がってろっ」

 って言われたけど迷う。

 

「わかったっ、後ろから掩護えんごするっ」

 それだけ言って建物の中へ戻って来た。


 建物と言っても家具はなく人もいない。商品は置いていないけど、店舗のような作りで10人くらい住めてしまうくらいの広さはある。

 援護するって言ったけれど私の武器は投石器しかないし、何か投げられる物、投げられるもの――と見回すけれど、弾になりそうな物はなかった。


 どうしよう……あんなに血が流れてたし、ショーカンが倒れたらどうしよう……。ショーカンが死んでしまったら私も生きて帰れないし。

 

 半泣きになりながらあちこち見回すしてみると、店の奥に屋根裏部屋へ続くハシゴがあった。

 上に弾に出来るものがあるかも知れない。


 こっそり登って頭を少し出して、魔物がいないか確認する。

 思ったより広くて明るい。

 ちょうど通りに面した横長の窓があって、そこが表の明かりを取り込んでいるみたいだ。

 

 そこから侵入してくる仕組みだったのかも知れない。

 素早く身を滑り込ませて窓から外を覗くと、眼下にはオーガを相手に暴れ回っているショーカンがいた。

  窓から首を突き出して見回すと、すぐ下には瓦葺きのひさしが5メートルほど続いている。


 これは使える?!


 そこへ降りると手近な瓦を引き抜いて割った。瓦の下には瓦桟木かわらさんぎが横に敷かれてて、2、3枚引き抜くと良い足場が出来上がる。

 瓦片を投石器にセットして狙いを定めて――

 

「それっ」


 ピュンと音を立ててオーガに命中!

 よしっ!


「ギィっ」


 オーガはショーカンを襲うのをやめて、瓦片がどこら飛んできたのか見回している。

 そこをショーカンが剣で貫いてオーガは素材へ変わった。


「ナイス!」

 ショーカンが親指を立てている。


「よーしっ」


 私もショーカンに親指を突き出した。

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