第44話 セーフティーゾーン2

 安全地帯セーフティーゾーンで一夜を明かす。

 第8層は太陽がわりの光源が時間が経つと、光を落とし闇が訪れる。

 光源が復活するまでの闇の時間。それを夜と呼び、冒険者パーティーはここで休息して体力を復活させる時間にあてる。


 幸い竈門かまどもあり、トイレ事情も死霊騎士リビングアーマーが解決してくれたから一息つけた感じだ。


 火を起こし食事の支度をしていると、悪霊騎士リビングアーマーが戻ってきた。


「大漁、大漁」

一角兎ホーンラビットが? 何羽獲れたんだい?」

「ん? 20羽くらい? あと食えそうな野草も採ってきたぞ。選り分けてくれよ」


 目の前に一角兎ホーンラビットの皮を取り出すと、その前に野草を並べて行く。


「あ……あっきれたぁ。ちょろっと行って銀貨5枚ぶん稼いで来ましたって、Eランクの冒険者が聞いたら泣くよ? 野草だって――」

 ほとんど食べれるものばかりだ。


 なんとなくわかってな、と簡単に言うが野草の目利きは新米冒険者が半年かけて養うものだ。

 生えていそうな場所、食べられる時期、種類などなど半年かけて覚えるのに、この悪霊騎士リビングアーマーは――?


「腹減ったぁ、火を借りて良いか?」


 なに? 腹が減った?

 死霊なのに? 死霊が食べるものってもしかして……?!


「バッカ違うよ、レオのこと食うわけねぇだろ? ちゃんと俺だって人間に戻りつつあるんだっての」


「どうゆう……こと?」


 実は――と信じられない事を死霊騎士リビングアーマーは語り始めた。


――――ショーカン目線です。


 ここらでレオにはきちんと言ってた方が良いだろう。

 俺がレオの信頼を得るたびに進化して人間の部位を取り戻せる事。

 俺のスキル空間収容イベントリも性能が上がり、収容したものと交換で必要な物が取り出せること。


「――んで、今は手足を除いて人間になっている」


 非常にビックリしている彼女。

 口をポカンと開けて、前髪の隙間からクリクリのサファイア色の瞳がこちらを凝視している。


「あん……あんだって?」


「だから手足以外は俺は人間になったんだよ」


「そう……そりゃおめでとうだね」

 と眉間のしわを指で揉み始めた。


「と言うわけで飯にしようぜ」

 

 強引に話を打ち切ると俺は在庫システムを起動した。

 さっきから腹がぐうぐう鳴っている。

 

 こんな時は焼き肉でしょ? 焼き肉といえばフライパン? それと塩胡椒は欠かせない。


一角兎ホーンラビットとフライパン、塩胡椒しおこしょうと交換――ポチっとな!」


 在庫システムの表示が切り替わる。


『フライパン……一角兎ホーンラビット1羽

 塩胡椒しおこしょう……一角兎ホーンラビット 10羽

 交換しますか?』


 塩胡椒しおこしょう高ぇな!? おいっ!

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