第39話 クリスタルヤドカリの腹の下
『餌で釣りだして落とし穴でひっくり返す。
一度ひっくり返せば、背中のクリスタル貝が重くて起き上がれないから後は簡単なんだけどね』
――――レオの言葉を思い出した。
と言う事は、弱点は腹なんじゃないか? 腹が柔らかいから、ひっくり返すんじゃないか?
ならば――と腹を括る。
何度目かの砂の洗礼を浴びると、カニ爪を振り上げたタイミングで飛び出す。
カニ爪は二つある。当然、一つ目を
ドォンッと砂が舞い上がった時、
ひしゃげたであろうリビングアーマーの死体を漁ろうと、カタツムリのように飛び出た目を四方に動かすクリスタルヤドカリ。
俺はヤツの腹の下に飛び込んでいた。
クリスタルヤドカリの貝の部分まで合わせると、体長で12、3メートル。伸ばせば5、6メートルはあった脚も曲げているから、腹の部分はちょうど俺の頭の高さにある。
とはいえ、いくら腹の部分が柔らかいと言っても甲殻類だ。白くざらざらと見える甲殻はちょっとしたGFRP(ガラス繊維強化プラスチック。バスタブなんかに使われてるアレね)っぽく見える。
その上このまま殴りつけても足元は砂地だ。
踏ん張りの効かないパンチを放っても、効くとは思えなかった。
「なんかないか? ブッ刺す槍みたいな――あったよな? 在庫システム、オープンッ」
視界の左端にカーソルが現れて、文字を吐き出しながら右へ流れて行く。
『――――――
――――――――――
◯サイクロプス▼
→◯皮 ……800㎠
→◯肉 ……300キロ
→◯バスターソード ……一振り2キロ
→◯鎧▼ 』
あったぁ――ポチっとな!
ゴトッと鉄の塊が砂地にぶっ刺さっていた。
サイクロプスが使っていたバスターソードだ。引き抜いてみると150センチくらいある。
こいつをどこにぶっ刺してやんべ?
と頭上を伺うと、潰したはずの俺が見当たらないからクリスタルヤドカリは、あちこち移動を始めた。
それに倣うように、俺も移動しながら注意深くヤツの腹の下を観察する。
腹部は
『脚の付け根の節の間を狙って。そこが急所だ』
レオの声が聞こえた気がした。
俺は十字軍の敬礼のようにバスターソードを胸の前に捧げ持つと、思い切りぶっ刺した。
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