第36話 ダンジョンに海
進化して腹部を取り戻した俺。
久々の空腹感に人として蘇りつつあるのを実感する。レオも気遣ってくれるのがわかって、レオとの信頼も増しつつある。
俺たちは第八層へ向かった。
――――ここは第八層。
洞窟全体が広く開け天井には謎の光の玉が燦然と輝いている。
第九層より断然明るくて夕暮れ時くらいはある。気温は俺にはわからないが、レオが軽く汗ばんでいるから24〜25度ってところだろう。
お馴染みの……と言った感じで
植生はまばらで、よく見れば隠れているのが丸見え。これだけ明るければ九層よりはぜんぜん難易度が低い。
ただひどく殺風景に見える。
「なぁ、レオ。ここはどんなフィールドなんだ?」
レオは
「海辺の魔物と山の魔物が出る。注意しなきゃいけないのはクリスタルヤドカリだね。背負っている貝がクリスタルでできていて姿を消して待ち伏せしている」
なにそれ? プレデターかよ?
「背中のクリスタルが光を屈折させているらしいんだ。普通は落とし穴へ誘導して倒すんだけど、遭遇戦になったら逃げの一択だよ」
「こんなときのためにパーティーを組んでるのか。ちなみに見えない敵をどうやって見つけるわけ?」
「動けば音がするから簡単さ。だけど姿を消してじっとしていることが多いから、こうやって――」
と言って小石を拾い集めている。
「隠れていそうなところに、石を投げて音を拾うんだ」
ふーん。みんな考えているわけね。
「どうやって倒すわけ?」
「餌で釣りだして落とし穴でひっくり返す。
一度ひっくり返せば、背中のクリスタル貝が重くて起き上がれないから後は簡単なんだけどね」
攻略法が確立されているためか脅威度4らしい。
ちなみにクリスタル貝は装飾品として加工されたり、レンズの原材料になるんだそうだ。
1キロ銀貨5枚、日本円で5000円くらいになるらしい。
もちろんレオの生還が第一目的だから、そんな雑魚に関わっているヒマなどない。
「狩猟はナシだな。この先の
「この先に海がある。海を左手に山に入ると、そこにある祠が
地図を見ながら確認している。
海?
俺の謎マークに「こっち来て」と手を引いて走り出す。やがて足元に砂が混じり始め、ザッパーンッと波の音がする。
うっそぉ〜ん。
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