第35話 大人なリビングアーマー
サイクロプスを倒し、下がらせていたレオの無事を確認すると、レオは嬉しそうな笑顔に変わる。
『レベルが上がりました』
頭の中に例のアナウンスが流れた。
――――レオ目線です。
おっどろいた。
もう二回目だけれど、脅威度10の
凄すぎって伝えに行くと「ん? そうなんか? まあ個体差もあるだろうよ。レオは怪我なかったか?」
なんてコッチを気遣ってくれる。
それが嘘じゃないってことは、バイパスを通して伝わってきたから、なんで言うんだろう? 凄くポカポカした気持ちになって嬉しくなった。
いつ以来だろう。
こんなに気遣ってもらって「代わりに――」なんて代償を求められないのって。
こんな底辺女子なのに、体を狙ってくる変態オヤジや商品を見るような冷たい目に慣れっこだったから、こんな地獄のような
『レベルが上がりました』
そのアナウンスがショーカンに流れたのがわかる。
なぜだろう――? 私も嬉しいんだけど?
――――ショーカン目線です。
嬉しそうなレオの笑顔を見て、思わず頬を撫ぜたくなる。
健気に頑張っている子を見ると『頑張れ』と声援を送りたくなる、あの気持ちだ。
それはそれとしてレベルアップが気になる。
次に取り戻すところは決めているから、視界の左端に点滅するアイコンが動き出すのももどかしく、両手を揉んでいる。
『アイテムを手に入れました。選択してください』
画面がスクロールしていき文字が浮かび上がる。
『◯右腕
◯左腕
◯右足
◯左足
◯腹部
◯下腹部
――――――――』
ここは腹部一択で――ポチッとな!
まずは胴体が先だ。手足が無くても義手、義足と誤魔化せるかも知れないが、胸から上しかない人って怖すぎる。
ぐるっと迫り上がる塊が喉元まで押し寄せるが、必死に飲み込んでいると段々治ってくる。
「ぎゅるる〜」と腹の虫が鳴いた。
ああ、空腹ってこんなんだった。
当たり前だった感覚が今はとてもありがたい。人間に戻って来ているって感じだ。
「どう? 大丈夫?」
とレオが気遣わしげに聞いてくる。
こんな時はいつだって大人はこう言うのだ。
「心配すんな。お前は自分のことだけを心配していれば良いんだよ」
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