第29話 リビングアーマーの投石器
レオから投石を習いたいと頼まれた俺は、快く了承した。
焚き火で暖をとったからか、安心したからかウトウトし始めたから
「ちょっとでも寝とけ。不寝番はしといてやるから」
と休ませることにした。
その間にレオの鉢金を綺麗にしとくか。
――――2、3時間たっただろうか?
レオがゴソゴソと起き出して来た。
「もう良いのか? まだ休んでて良いんだぞ?」
と声をかけると、寝ぼけ眼でフルフルと首を振る。
「早く戻ってあげなくちゃ。あの子(ラエル)が待ってる」
そっか……そうだな。
置き去りにされた精神的な疲労や、ここまで歩いて来た疲労を考えればもう少し休ませてあげたかったが、待っているラエルも辛かろうと、思い直す。
「あ……少しの間で良いから、ショーカンの投石のしかたを教えて」
と体をほぐしながら頼んでくる。
「お安い御用だ」
本人にも身を守る術を持ってもらっていた方が守りやすいし、なにより今後役に立つと思う。
「今まではどんな感じで投げてた? 投げてみそ、それ」
と野球ボールほどの石を手渡すと、見事に野球をしたことのない女の子投げ。腕を曲げて、伸ばす、終わり、まるってなカンジ。
だが俺はそれを
やったことがなければ、できなくて当たり前なのだ。
そこらに生えているシダを茎ごと引き抜き、グチャグチャにほぐして簡易のロープを作る。それを2本
「なに作ってるの?」
「投石器だ」
「なんで?」
「この方が早く強く投げられるし、投げ方の感覚をつかめる」
原始時代には狩の道具として登場しているし、中世には武器としても使われていたから、今のレオには最適だろう。
レオに簡単に使い方をレクチャーし
「この二股に分かれたところに石を挟んで、グルグル回す。勢いがついたら、こうだ」
とピュンと飛ばしてみせる――つもりが、ブチリと千切れてとんでもない方向へ飛んでいった。
むぅ使い物にならんな。
「
……できてしまった。
いろいろ思うところはあるが、レオに手ほどきをするのが先決だ。
「こうだ!」
「ピギャ」
びゅんと勢いよく飛び出した石は、藪の中に気配のあった
「と、まぁこんな感じかな」
獲物を
「やってみそ」
と投石器を手渡した。
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