第27話 リビングアーマーはご機嫌をとる
『レベルが上がりました』
突如アナウンスが頭の中に響き渡った。
なんで今?
普通レベルアップとか強敵を倒したら、経験値が入って上がるじゃない?
てっきりそんなシステムだと思ってた。
確かに格上のミノタウルスは倒した。なら、その直後くらいにレベルアップするんじゃないの?
考え込んでいると、視界の左端のアイコンが点滅を始め左から右へと文字を紡いでいく。
『アイテムを手に入れました。選択してください』
画面がスクロールしていき文字が浮かび上がる。
『◯右腕
◯左腕
◯右足
◯左足
◯胸部
◯腹部
◯下腹部
――――――――』
なんだよ下腹部って!? アウトな表現にしか思えねぇよ!
まぁ……無くても困るんだが。
次の復活部位だがここは胸部だろう。
頭の下に何もないなんてホラーでしかないからな。
「ポチッとな!」
グオッと何かが競り上がって来て、ふぅ――と息を吐いた。胸がドキドキする。
ああ、これが心臓の音だったか。
当たり前だったことに感動する。
さてと、大きく息を吸い込んでみるか、とスゥと深呼吸をするとじめっとした湿気が胸いっぱいに広がる。
少し獣くさい独特の臭いだ。
胸部とともに嗅覚も蘇ったか?
「くっさぁ〜っ」
思わず正直な感想を漏らすと、レオが笑っている。
「
だぁな、と俺も笑う。
「進化したの?」
ああ、レオのおかげだ……と言いかけて、ハタと気づいた。
ひょっとして進化する条件は、レオのご機嫌に左右されるんじゃないのか? 初っ端はレオを助けたことでホッとしてもらいワンアップ。
次が少し間が空いたのはレオを怯えさせたから。
次のレベルアップが来たのは、食材を提供してご機嫌になってからだ。
とすれば俺の蘇生は彼女にかかっている。
仮説はこれにして検証していくしかなさそうだ。いかに喜んでいただくか? は擦り合わせの必要がある。
「なぁレオ、今食いたい物ってなんだ?
これだ、中二女子は『花より団子』。
名付けて『
「なにそれ? 急にサービス良くなっちゃってさ。気持ち悪っ、甘い物が良いけど」
機嫌を損ねたんだか、要求されたんだかわからないがこれがこの歳の特徴なんだだろう。
迷うことなく要求に応えようじゃないか!
「
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます