第26話 リビングアーマーは鍋奉行
せめて温かい飯を食わせてやりてぇ――と必死に火種を作っていると。
とっくにレオは火を着けて干し肉を煮ている。
「
「ん? そんなもんもってたのか?」
「煮炊きはポーターの仕事だからね。ポーチに
ケケケケッと憎々しく笑った。
なんだよ……と言いながら笑ってくれるようになったか、と少し胸を撫で下ろす。
しかし、干し肉をふやかした物だけじゃ不味かろう、と
対価は
視界の左端のカーソルが点滅し始めた。
『どれと交換しますか?
――――
――――
◯
→◯コンソメ 20個
→◯鍋セット▼ 1個』
謎の表示に、ん? となりつつもレオの腹具合を聞いてみることにする。
「レオ、それで足りるか?」
「無いよりマシだろ。少しでも腹に入れとかなきゃ」
「じゃあまだ足りてないんだな? どうする?
な……?! と目を見開き、カクカクとうなずく。
よっぽど腹が減ってるんだろう。
まだ鉢金に水が残ってるのを確認して
まずはコンソメだ。
そのあとは……?
ウームと考えていると『鍋セット▼』とある。
なんじゃこの▼は? プルダウン機能かよ? とりあえずポチってみると、案の定リストが追加される。
……◯鍋セット▼
◯ジャガイモ ◯玉ねぎ ◯ニンジン ◯白菜 ×ツミレ ×ズワイガニ ――』
「なんじゃこりゃあ?」
×ツミレとか×ズワイガニとか、すっげぇ気になる。ポチって見ても変化がなかったから、
気を取り直してまずはコンソメを1個、くれぐれも1個ね、と念じながら指先を鉢金に向ける。
人差し指の第一関節がパカリと開いて、コロンと塊が転げ落ちて来た。
「……」
「……こんだけ?」
「焦んな、続きがまだある」
続けて鍋セットをポチッとな。
今度は手首がパカリとあり得ない方向へ開いて、ドバドバと具材が落ちて来た。
仕上げは
グツグツと煮立った頃に、落ちていた枝を洗浄水で洗い渡してやるとレオはおずおずと受け取って、鍋を食べ始めた。
「うっまっ!?
驚きに目を見開くレオ。
「俺は
と言うと、にっこりとレオは笑った。
『レベルが上がりました』
突如アナウンスが頭の中に響き渡った。
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