第25話 空回りするリビングアーマー
レオは「なんでもアリだね」と呆れたように肩をすくめた。
――――その鉢金に満たした水で、干し肉をふやかして食うつもりらしい。
どうせなら煮れば良いのに、と思ったから聞いてみる。
「
「そんなことないよ、
ん? なんか引っかかったが、鉢金の前でむぅと顔を
「ちょっと待ってろ」
と言うと、そこらに転がる岩をコの字に並べて
さて、あとは着火なんだが――とあたりを見回す。
まっすぐな棒と平べったいシダの葉を迷うことなく拾い上げ、棒を手のひらで転がし一心不乱にシダの葉を穿った。(サバイバル的なアレね)
これで火がついてくれれば良いんだが……。
「ショーカンありがとうね」
と後ろで声がするが、ああと生返事を返して一心不乱に擦り続ける。
火種にするつもりのシダの葉は弱すぎて、すぐ穴が空いてダメになってしまう。
腹が減ってはロクな考えになるわけがない。
これは俺がレオの刺々しい態度が嫌でそう思っているわけじゃない。刺々しいのが辛いわけじゃないのだ。(大事なことだから二回言う)
高校の頃、荒れていた俺が喧嘩して逃げて帰って来るたび
「腹減ったやろ?」
と無理に晩飯を食わせてくれたお袋が言ってた。
「腹が減るからロクなことしないんだよ、悪いのはアンタじゃない。腹の虫さ」
「意味不明、そしてわけわかんねぇ」
と憎まれ口を叩いていたのに、腹が減ってたのは確かだから飯を食らったは良いものの、口中傷だらけで醤油が沁みて悶絶してたっけ。
「ほれ、それが自分のやったバカ。バカバカしいだろ?」
そう言ってよく笑ってた。
この娘もきっと腹の虫がそうさせているんだよな? 母ちゃん。(自己弁護)
せめて温かい飯を食わせてやりてぇ――と必死に火種を作っていると。
ん……? なんか良い匂いがするんだが?
振り向くとレオはとっくに薪に火を着けて干し肉を煮ている。
「
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます