第24話 リビングアーマー便利と思われる

「心配すな、その分は俺が補填してやるって。だが、仔細は任せるぞ――頼りにしてるぜ、リーダー」


 そう言うと目を丸くする。


「あんだって……?」


「いや、そうだろう? 今の俺は冒険者どころか、人間ですらないんだぞ? 死霊騎士リビングアーマーから誰が魔石を買ってくれるって言うんだい?」


 だって、とか、いやまだ私見習いだし――とか言ってだけれど、ぶつぶつ言いながらも腹が据わったようだ。


「わかったよ――でも、いきなりオークを扱うってわけにもいかないから、最低一角兎ホーンラビットを狩れるようにしなきゃ」


 一角兎ホーンラビットは脅威度1とはいえ、大型犬くらいある巨体で突っ込んでくるから、レオには十分脅威だ。


 レオは立ち上がろうとしてふらつく。


「ど、どうした?」


 どうも年頃の少女にはガラス細工を扱うように、腰が引けてしまっていけない。オロオロしながら様子を伺うと、空腹でめまいがしたらしい。


「干し肉を水で戻すから、ちょっとだけ水出してくれない?」


「出すのは構わんが容器は?」


 と言うと、頭の鉢金を脱いでここに入れろと言う。

 元日本人の俺としては衛生的に宜しくない。


「ちょっと待っとけ」


 水、水、と念じていると目の端にカーソルが点滅し、左から右へと文字を紡いで空間収容イベントリの在庫を表示した。


『◯オーク皮  20枚

 ◯オーク肉  19個

 ◯オーク魔石 19個

 ◯ミノタウルス皮と肉 1個

 ◯ ミノタウルスの手斧ハンドアックス 1個

 ◯ ミノタウルスの手盾バックラー 1個

 ◯ ミノタウルスのよろい 1個

 ◯一角兎ホーンラビット▼ 10羽

 ◯回復水 820リットル

 ――――』

 

 確か一角兎ホーンラビットは銀貨二、三枚って言ってたな。こいつだと程よい量で手に入るんじゃないだろうか?


一角兎ホーンラビットと水を交換しますか?』


 と先読みしたように文字がでてくる。


『◯一角兎ホーンラビット

 → ◯洗浄水……汚れを落としやすくする 10リットル

 → ◯岩清水……美味しい水 5リットル』


 なんでぇ、適量があるじゃねぇか――って、さっきはオークしか在庫になかったからか。

 どうやらこの在庫の価値と同等の物と交換できるらしい。


 とりあえず洗浄水をポチり、レオの鉢金を取り上げると指先がムズムズする。鉢金の裏側に向けて指を突き出すと、ブシャ――ッとえらい勢いで水が噴き出して来た。


「み、水が……」


 とレオが目を見開いている。

 鉢金から汚れを絡めとるように、しばらく濁った水が流れ落ち、やがて透明に変わると綺麗になった。


 続けて岩清水を注入っと。


「ほれ」

 と手渡すと水と俺の顔を交互に見ると


「なんでもアリだね」

 

 と呆れたように肩をすくめた。

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