第11話 リビングアーマー悩む

「ああ、それで良い。俺たちはチーム『リボーン』。ここから生まれ変わるんだ」


 と歩み始めた。


――レオ目線です。


 フェイスガードを押し上げた死霊騎士リビングアーマーは、私と同じサファイア色の優しい目をしていた。

 歳は二十歳くらい? 白い肌にスッキリとした鼻立ち。吟遊詩人が歌う華も身もある好男子って感じだ。


 ちょっと言い方は荒っぽいけど、こんな状況ではむしろ頼もしい。少しポーッとしてたら、大事な事を忘れるところだった。


「あ、ちょっと待って。魔石を集めなきゃ、肉も持てるだけ持つから」

 と元の場所へ駆け戻る。


「そんなもんどうするんだよ。置いてけよ」

 って言うから

「肉はおとりに使えるし魔石は金になる。ここから出られたら肉も金になる」

 と教えてあげた。


 愕然としてたけど、冒険者なら当たり前のことだ。魔物としては狩られる感じで嫌だったかな?


――――ショーカン目線です。


 なん……だと?

 お金は力マネーイズパワーだ。商社勤めだった俺には痛いほどわかる。何をするにも金がいる。肉と魔石はあればあっただけ良いらしい。

 だが、か弱い女の子がそんなに持てるはずがない。


「ん……?」


 目の端にカーソルが点滅している。


『スキル ◯空間収納』


 なんじゃこりゃ?


「なぁ、レオ。スキルってなんだ?」


 なんでそんな事聞くかな? と、手をヒラヒラさせて回収の作業を始める。

 

「なんだよ、なんか悪いこと言ったか?」


「私たちには関係ないよ。最悪不運の私とあなたとじゃね」


 と、言いながら肉を小刀で捌きながら

「切り分けても麻袋に入りきらないよ、どうしよう?」

 と顔をしかめている。


「スキル持ってるみたいなんだけど」


 レオはなんで……? と戸惑っている。

 

「なんだよ、そんなに変なことなのか?」


「あり得ないからさ……スキルってね、神の祝福なの。それこそ教会で洗練を受けたごく一部の人が授かる特殊な能力よ」

 

 だから、と首を振りながら


死霊騎士リビングアーマーが神の祝福をもらえるわけないし、教会に寄付もできない貧乏人の私も授かるわけないのよ」


 ごめんねと悲しげに肩を落とした。

 死霊になりたての俺を死霊騎士リビングアーマーと呼んだ事を気に病んだみたいだ。


「いや……まぁ、良いんだが」

 とゴニョゴニョ言いながら、目の端に映るカーソルをポチてみる。


 ググッと何かが競り上がってくる気がする。

 パカリと胸部が左右に開くと、豚(オーク)の肉を吸い込んでいく。

 魔石も吸い出されるように俺の胸部へ収まった。


「あれ?!」

「へ?」


 俺氏、何をした?

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