第6話

 「"神"が見つからないならもう誰でもいい!そいつを生贄にしろ!」

「だめよ!うちの子はだめ!おたくの子にしなさい!」

「そんな…!!やめてくださいお願いします。」

「すみません。すみません。すみません。」

「ねぇ、"神"って私のこと?お母さん、お父さん。」

「…!?」

「あんた!!どこ行ってたの!!そうよ。そう。だから早く長老様の所行って身支度を済ませてきなさい。ほら早く。早くしなさい!」

「…そう。うん。行ってくる。今までありがとね。」

無表情で感謝を告げる彼女に両親は意表を突かれます。


「なぁ、これでよかったのかな。」

「あの子は生まれた時からこうなる運命だったんだよ。赤ちゃんの額にアザを見つけた時に思っちゃったんだ。成長してこのアザが消えても生贄になる事実は消えない。成人したらいなくなるって分かってて、深入りすればするほど傷つくって分かってて耐えられるほど強くなかったんだ。冷たくしてごめんなさい。何もしてあげられなくてごめんなさい。ごめんなさい。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る